地球への衝突確率が「3%以上」だった小惑星、実は心配無用と判明--なぜ騒がれたのか

Amanda Kooser (CNET News) 翻訳校正: 編集部2025年02月26日 11時15分

 地球はまたしても小惑星衝突の危機を回避できそうだ。「2024 YR4」と呼ばれる自由の女神大の小惑星が注目を集めており、つい最近まで「2032年12月22日に約3.1%の確率で衝突する恐れがある」と計算されていた。しかし当時から、天文学者はさらなる観測データの収集を訴えていた。

ESA-Science Office ESA-Science Office
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 そして新たに得られた情報により、状況は大きく変わった。NASAは2月24日の更新で「2024 YR4 が今後しばらくの間、地球に衝突するリスクは大幅に低下した」と報告し、欧州宇宙機関(ESA)も「重大な衝突リスクはもはや存在しない」と発表した。小惑星2024 YR4 は2032年末に地球に接近する見通しだが、安全に通過する見込みで、“終末準備”のような対策は不要となった。

 この小惑星は、国際天文学連合(IAU)傘下の小惑星センター(Minor Planet Center)によって12月27日に初めて報告された。小惑星センターは新たに見つかった小惑星や彗星など、近地球天体(NEO)を公式に登録・報告・命名する機関だ。

 2024 YR4は複数の観測所によって確認され、ESAは当初、同天体を“小惑星リスクリスト”の最上位に置き、NASAの“Sentry リスト”でもトップにランクしていた。Sentryリストとは、地球衝突の可能性が少しでもある全近地球小惑星をまとめたものだが、最終的に今回の高ランクは一時的な評価だったことが判明した。

 小惑星の衝突リスクを評価するためには、トリノ衝突評価スケール(Torino Scale)がよく使われる。このスケールは0から10まである。

 2024 YR4 は一時期、同スケールで3と評価されていた。つまり「10年以内に地球に衝突する可能性があり、天文学者だけでなく一般社会や行政機関も注意を払う必要がある」レベルだった。

●なぜ騒がれたのか

 NASAは1月29日の時点で「このレベルに達する小惑星は時々現れるが、追加データで最終的にリストから外れるのが通例だ」と述べていた。今回もまさにそうなった。なお、最悪のレベル10は「地球規模の破壊が確実に起こり得る衝突」を指すが、2024YR4は現在レベル0(衝突リスクなし)に下がっている。

 実際、この小惑星の衝突確率は最初は約1%だったが、NASAが2月7日に2.3%に引き上げ、その後3.1%に達した。しかしこれはよくある「最初はデータが少なく、補足データによって一時的に確率が上昇する」という現象で、現在は0.0017%まで下がっている。観測データが増えれば精度が上がり、衝突リスクの確率が最終的にゼロ付近へ収束していくことは、科学者の間では想定内のプロセスだ。

 今回の事例も、そうした観測データの蓄積と軌道計算の精度向上が順当に機能した例だと言える。ESAも2月25日の声明で「今回の衝突確率の上昇と下降は、想定通りのパターンを辿った」と述べている。結局のところ、小惑星 2024 YR4は2032年に接近はするものの、地球に深刻な影響を与えることはない見通しだ。

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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