初の本格「フォトショップ」アプリ、iPhoneに登場--ファーストインプレッション

Katelyn Chedraoui Lori Grunin  (CNET News) 翻訳校正: 編集部2025年02月26日 06時47分

 初の本格的な「Photoshop」アプリがiPhone向けに登場した。ニューヨークでのプレビューを見る限り、新しいiPhone版Photoshopはデスクトップ版をそのまま小さくしたわけでも、これまでのPhotoshop Expressを少し強化しただけでもない。毎日多くのクリエイターが使っているPhotoshopが、まったく新しい形に進化したような印象を受けた。(Android版は近日登場予定)

(Katelyn Chedraoui/CNET)
(Katelyn Chedraoui/CNET)
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●スマホ向けでは事実上初となる本格フォトショップアプリ登場

 実はAdobeは15年以上にわたり、「Photoshop Express」や「Photoshop Touch」などのモバイルアプリを投入しては整理を繰り返してきた。また、Photoshop以外にも「Lightroom」のスマホ版や、描画アプリ「Fresco」をリリースするなど、さまざまなモバイルアプリを投入している。しかし、クリエイターにとっては「ずっとPhotoshop級のモバイルアプリがないままだった」が、今回これが解消された。

 今回のiOS版Photoshopアプリは世界同時公開となった。無料で利用できるが全機能を使うには「Photoshopモバイル版+web版」などのサブスクリプションが必要だ。Creative CloudのAll Appsなど、Photoshopを含む既存プランにも追加料金なしで含まれる。ファイルは全プラットフォームで互換性があり、シームレスに作業できる。

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 おなじみのPhotoshop機能の多くはアプリにも備わっているが、iOS版は従来のPhotoshopとは大きく異なる見た目と操作感だ。どちらかといえば「Photoshop Elements」に近いデザインで、Adobeいわく「スマホでの制作を好む次世代のクリエイター」に向けた設計だという。若い世代、とくにZ世代やα世代はスマホ中心というデータもあるが、プロが使い慣れたデスクトップ版の豊富な機能を想像していると、物足りなく感じるかもしれない。一方で、PC版やWeb版の多機能ぶりに圧倒されてしまうユーザーには、Photoshopを始めるきっかけとしてちょうどいい入り口になる可能性がある。

 とはいえ、モバイルアプリならではの手軽さは大きな利点だ。Adobeもこのアプリを、他のPhotoshopバージョンへつなぐ「架け橋」と位置づけている。Web版のほうがさらに高度な機能を備え、デスクトップ版は言うまでもなくフル機能を利用できる。ここからは新しいiPhone版Photoshopでどんなことができるのか、主な特徴を見ていこう。

●見慣れた要素と新機能

 アプリを起動すると、レイヤーやマスキングといったおなじみの機能や、普段から使い慣れたレタッチツールが並んでいる。Photoshopユーザーなら親しみやすいだろう。ただし、モバイル向けに調整されたUIには少し慣れが必要だ。

 特に注目したいのは新機能の「Tap Select」ツールだ。選択ツールはすでに豊富だが、スマホの小さな画面で作業するなら同機能がとても便利だ。画像を解析し、写真内のオブジェクトを自動的に識別してサムネイルで一覧表示してくれる。その中からタップで複数のオブジェクトをまとめて選択し、マスクや編集を施せる。

「選択」をタップする様子(Katelyn Chedraoui/CNET)
Tap Selectツール(Katelyn Chedraoui/CNET)
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 Adobeアカウントと同期されるため、Lightroomで管理している写真やFrescoで描いたイラストをそのまま編集できる。新しいプロジェクトを始めるなら、Adobeの「Firefly AI」で画像生成したり、Adobe Stockの無料コレクションから素材の検索も可能だ。(別途ログインやライセンス取得は不要)。もちろん、デスクトップ版やWeb版と同じく、AIを使ったPhotoshopの「生成塗りつぶし」なども利用できる。

 有料版にアップグレードすれば、自動選択ツールやスポット修復など追加の編集ツールに加え、「類似画像を生成」や「参照画像を使用してコンテンツを生成」、より精度の高いオブジェクト選択ツールなど、Web版の高度な機能も使えるようになる。

●小さな画面で進化するPhotoshop

 今回のリリースは、写真編集ソフトやスマートフォンなどがAIで大きく進化しているタイミングだ。ここ数年、AdobeはAIに積極的で、それを警戒する一部のクリエイターからは不安の声も上がっている。Premiere Proで動画クリップを拡張するツールや、Photoshopで配線やケーブルを消す機能など、Adobeの主要なクリエイティブ製品には次々とAIを活用した大幅なアップグレードが施されてきた。

 Adobeはさらに勢いを増しており、今月にはAIによる動画生成ツールのパブリックベータ版まで公開している。その一方で、AppleやSamsung、Googleといったスマホメーカーは、新機種にさまざまなAI機能を組み込んでいる。AppleのAI機能「Apple Intelligence」のように、写真編集や不要物を取り除くクリーンアップ機能など、いくつかのAI機能はスマホだけで完結できるレベルだ。

 しかも、写真編集ツールの世界には競合が多く、「Canva」や「Photopea」のようなアプリはAdobeほどの機能はないにしても、Adobeにどっぷり浸かっていない限り、わざわざPhotoshopに乗り換えるほどではないと感じるユーザーもいるだろう。

 そんな中で登場したiPhone版Photoshopは、確かに遅きに失した感はあるが、Adobeのラインナップに欠けていたピースを埋め、既存ユーザーにはより便利な選択肢を用意してくれた。ただ、Adobeが狙う「次世代のクリエイター」が、この新しいPhotoshopアプリを選ぶのか、それとも数多ある競合アプリやスマホ標準のAI編集機能に惹かれるのかは、まだわからない。これからの動きに注目したいところだ。

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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