Lenovo Legion Go Sは、2023年に発売されたLegion Goに続く、同社2作目のWindows 11搭載携帯ゲーム機だ。これは単なる強化版というより、携帯性を重視した派生モデルといえる。前モデルの問題点のいくつかは改善されているものの、完全に解消されたわけではない。それでも、前作に比べれば使い勝手は格段に向上している。
本体は前作よりコンパクトになり、8インチWUXGA(1920×1200)のタッチスクリーンを搭載している。Legion Goが約9インチのQuad HD(2560×1600)ディスプレイを採用していたのに対し、解像度は下がるが、実際に確認すると画質は十分にシャープで発色も良好だ。また、サイズが縮小された分、重量は約1.61ポンド(約730g)に抑えられており、長時間持ち歩いても負担になりにくい。
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コントローラーは従来の取り外し式から固定式へと変更されたが、操作性はむしろ向上している。側面にはザラついたテクスチャが施され、ホールエフェクト式のジョイスティックや大きめの方向パッドなど、ユーザーの操作を考慮した工夫が随所に見られる。さらに、本体背面にはトリガーの押し込み量を切り替えるスイッチが設けられており、FPSなら短め、レースゲームなら深めと、用途に応じた調整が可能だ。
音響面では、前面に配置されたドライバーのおかげで、従来の上部スピーカーよりも臨場感のあるサウンドが楽しめる。右側のスピーカーとジョイスティックの間にある小さな正方形はタッチパッドで、ウェブブラウジング時のカーソル操作に役立つ。画面周辺に配置された4つのボタンは、上段がシステム設定へのアクセス、下段がゲーム内のポーズメニューなど、用途別に機能が割り当てられている。
内部にはAMD Ryzen Z2 GoチップセットとAMD Radeon内蔵GPU、32GBのRAMを搭載しており、処理能力は高い。実際、ブラウザのタブを50程度開き、複数のアプリを同時に起動しても動作は非常にスムーズだった。ただし、その負荷が続くと冷却ファンが全力で稼働し、静かな環境ではタービンのような騒音が気になる場合もある。
ゲームに関しては、『Monster Hunter Wilds Beta』を最低のグラフィック設定でプレイすれば快適で、高解像度では多少のカクつきは見られるものの、最適化が十分でないゲームとしては問題なく動作する。ディスプレイの120Hzリフレッシュレートにより、キャラクターやモンスターの動きは想像以上に滑らかだ。
一方、バッテリー駆動時間は依然として課題である。ゲームプレイでは約2時間で電源が切れ、連続稼働テストでも7時間ほどしか持たなかった。前作と同様の弱点であるため、ここはやや期待外れといえる。
また、ソフトウェアの安定性にも改善の余地がある。たとえば、ログイン画面がディスプレイ上端に表示されるなどの軽微な不具合に加え、『ファイナルファンタジーVII リバース』がDirectX 12のエラーで起動しなかった事例も報告されている。これは、AMDプロセッサと「ファイナルファンタジー」シリーズとの相性が影響しているとみられ、筆者もRedditで対策を試みたものの解決には至らなかった。こうした不具合は、ゲームを楽しむ上でストレスの要因となるだろう。
とはいえ、『ファイナルファンタジー』以外の多くのゲームは問題なく動作しているため、すべてのタイトルで不具合が発生するわけではない。また、筆者は旅行する際の欠かせないアイテムとなった。
Lenovo Legion Go Sは、米Best Buyにて730ドル(約11万円)から予約受付中で、軽量で迫力ある音響を求めるユーザーには魅力的な選択肢となる。
一方、より高いパフォーマンスや長いバッテリー駆動時間を重視するなら、「MSI Claw 8 AI+」も検討に値する。後者は、ゲームプレイ時にLegion Go Sの約2倍にあたる4.5時間の駆動時間を実現し、動作の安定性も高いが、その分価格は上乗せされる点に留意が必要だ。
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この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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