「AIの脅威は私たち全員に」--ニセ動画被害のスカーレット・ヨハンソンさん、規制訴え

Samantha Kelly (Special to CNET News) 翻訳校正: 編集部2025年02月13日 13時57分

 俳優のスカーレット・ヨハンソンさんは、人工知能(AI)の規制を求める声を強めており、AIの不適切な使用は「人類の差し迫った未来」に大きな脅威をもたらすと警告している。自身がラッパーのYe(旧カニエ・ウェストさん)に抗議するかのような動画が拡散したことを受け、米国の議員らに明確な規制の枠組みを確立するよう強く求めている。この動画には、他の著名人の姿も含まれている。

 ディープフェイクは、実在する人物の音声や映像のサンプルを使用して、現実味のある写真や動画を作成するもので、AIのおかげでこれまで以上に簡単に作成でき、本物に近いものになっている。

 今回のディープフェイク動画では、ジェリー・サインフェルドさん、ドレイクさん、ミラ・クニスさん、アダム・サンドラーさんといったユダヤ系のセレブたちが、中指とユダヤの星をあしらった「反カニエ・ウェスト」のTシャツを着ている様子がAIによって生成された。 現時点では、この動画を制作した人物は不明だが、おそらく出演者の許可を得ずに制作されたものと思われる。

 ディープフェイク動画は、最近ウェストさんが自身のウェブサイト「Yeezy」で、ナチスの鉤十字シンボルをあしらった、ナチス式敬礼を示唆する品名のTシャツ(20ドル)を販売したことを受けたものだ。ウェストさんはスーパーボウルの期間中にローカル広告を購入し、このウェブサイトを宣伝した。

 以前からAIについて発言してきたヨハンソンさんは、米CNETに寄せた声明で次のように述べた。

 「家族や友人から、反ユダヤ主義的な見解に対する私の姿を映したAI生成の動画がオンラインで出回り、拡散されていると聞いた。私はユダヤ人女性であり、反ユダヤ主義やあらゆるヘイトスピーチを許容しない。しかし、AIによって増幅されたヘイトスピーチの潜在的な脅威は、その責任を負う個人よりもはるかに大きなものだと確信している。何を伝えるものであれ、AIの悪用を声を大にして非難しなければ、現実を把握できなくなる危険性がある」

 今週、IT業界の著名リーダーらが、AIの安全策について協議する「AIアクションサミット」のためパリに集まった。多くの企業や議員は、イノベーションを阻害することなくAIを効果的に規制する方法に引き続き取り組んでいる。

ヨハンソンさんは過去にもAIの利用をめぐり抗議

 AI規制についてヨハンソンさんが主導的な発言をするのは今回が初めてではない。2024年、OpenAIのAIモデル「GPT-4o」に、映画「her/世界でひとつの彼女」におけるヨハンソンさんの声と驚くほど似た音声が採用された。ヨハンソンさんの法務チームが同社に書簡を送ると、同社は謝罪し、高度な音声モードの広範な展開を一時的に延期した。

 OpenAIは当時ブログ記事で、同社が「スカイ」と呼ぶその特定の音声について、「(ヨハンソンさんの声に)似せる意図は決してなかった」と述べた。

 ヨハンソンさんは最新の声明で、「私は残念ながらAIの有名な被害者となってしまったが、実際にはAIの脅威は私たち全員に影響を及ぼすものだ」としている。

 「AIに関しては、米国を除くいくつかの先進国が責任ある対応をしている。AIの差し迫った危険から自国民を守るための法案を可決するにあたり、米国政府が機能不全に陥っているのは恐ろしいことだ」(同氏)

さらに、「私は米国政府に対し、AIの使用を制限する法律の制定を最優先事項とするよう強く求める。これは超党派の問題であり、人類の差し迫った未来に多大な影響を与えるものだ」としている。

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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