ビートルズの新作、AIを使った曲として初のグラミー受賞

Samantha Kelly (Special to CNET News) 翻訳校正: 編集部2025年02月04日 08時30分

 ビートルズは米国時間2月2日夜、解散から55年近くを経て、人工知能(AI)の助けを少し借りてグラミー賞を受賞した。

ビートルズの4人 提供:Harry Hammond/V&A Images/Getty Images
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 2023年11月にリリースされた同バンドの楽曲「Now and Then(ナウ・アンド・ゼン)」は、最優秀ロックパフォーマンス賞を受賞した。AIを使用した楽曲として初のグラミー賞獲得という歴史を作った。

 「ナウ・アンド・ゼン」は最優秀レコード賞にもノミネートされたが、ケンドリック・ラマーの「Not Like Us(ノット・ライク・アス)」に敗れた。

 この曲には、故ジョン・レノンがピアノを弾いて歌う未発表だった音源が収録されている。レノンの妻オノ・ヨーコは、ジョンの死後にこの音源をビートルズの他のメンバーと共有した。

 エンジニアらは高度な機械学習ソフトウェアを使って、ピアノの演奏からレノンの声を分離することに成功。ポール・マッカートニー、リンゴ・スター、そして故ジョージ・ハリスンは長年にわたってこの曲に取り組み、最終的には各自のパートを追加し、4人のバンドメンバー全員が参加する新しい曲として完成させた。

 リリースに先立ち、マッカートニーは「X」への投稿で次のように述べた。「(前略)人工的または合成的に作られたものは一切ない。すべて本物であり、私たちは皆、これに参加している。既存の録音をいくつか修正したが、このプロセスは長年にわたり行われてきたものだ」

 この曲は、制作にAIが使用されたものの、グラミー賞のガイドラインに適合している。同ガイドラインでは、「人間のクリエイターのみが対象」としつつ、「AI素材の要素」を含む作品を特定のカテゴリーで認めている。

 音楽業界は、AIの適切な使用法や、それが音楽制作における創造性や真実性にどのような影響を与えるかを見極めようとしている。今回の受賞は、AIを活用した楽曲が、アーティストの功績を称えると同時に、革新と創造的表現の新たな道を開くことができることを示している。音楽業界ではAIの利用がますます増えている。一方、誰もが賛成しているわけではない。

 「ナウ・アンド・ゼン」について描いた12分の短編映画では、1994年に再結集して楽曲制作に取り組むマッカートニー、ハリスン、スターの姿が描かれている。しかし、2001年にハリスンが亡くなってから2022年まで、この曲に手が加えられることはほとんどなかった。

 レノンの息子ショーンは映画の中で、父親の声が新しいビートルズの曲の一部となったプロセスに感動したと語った。「父はきっと喜んだだろう。なぜなら、父はレコーディング技術の実験に積極的だったから。本当に素晴らしいことだ」

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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