AIで生成された画像や動画をめぐっては、法的・倫理的にさまざまな議論が起きており、著作権問題は特に注目を集めている。こうした状況の中、米国著作権局は水曜日、AIで編集された画像や動画、テキストに著作権を認めるかどうかについて一定の指針を示す新たな報告書を公表した。
この報告書では「作品にAIが生成した要素が含まれていても、人間の著者が生み出したオリジナルの表現は著作権で保護される」とした。一方で、完全にAIのみで生成された画像は引き続き著作権の対象外とされる。
今回の報告書は、著作権局がAIに関して発表したレポートの2回目で、AIによって生成・編集された画像の「著作権性」をテーマとしている。同局は2023年3月に最初のAI関連ガイダンスを出した後、オンラインで一般からの意見を公募。レポートは全3回の予定で、昨年7月に公開された1回目では、ディープフェイクや政治家を装ったロボコールなど「AIレプリカ」を中心に取り上げた。
なお、これらの報告書に法的拘束力はないが、新たなAI技術がもたらす法的および所有権上の課題に対して、著作権局が今後どのように指針を変えていくのかを探るうえで重要な手がかりとなる。
今回の報告書で特に強調されているのは、「制作プロセスで人間がどれほど積極的に関与しているか」という点だ。近年、多くの写真や映像の編集ソフトがAI機能を提供している。たとえば映画の制作工程で使われる若返りツールや、不要物や写り込みを消す写真編集機能などが以前から存在していたが、いまやAIで動作するものが増えている。こうした技術の導入に対して、一部のクリエイターは懸念を示しているという。
ただし、こうした「アシスト型」のAIを使った場合は、AI画像生成ツールに複雑なプロンプトを入力して作品を「自動生成」させるケースとは異なる。そのため、編集ソフトを通じて人間が作品を加工する行為自体は著作権を失う理由にはならない。報告書も「人間の創造性を補助するAIと、人間の創造性の代わりにAIを使う場合とでは大きく異なる」と指摘している。
一方、AI画像生成に使うプロンプトそのものに著作権は認められないというのが著作権局の見解だ。最終的に生成される画像は、同じプロンプトでも無数のバリエーションが生まれることから、「プロンプトを解釈しているのはAIであり、人間の創作行為とはいえない」という理由が大きい。
現状では、米国の行政機関や裁判所の判断はまだまとまりがなく、AIを使った画像や動画の法的扱いは統一性を欠いているのが実情だ。今後、新年や新政権のもとで法整備や政策に変化があるかもしれないが、現段階ではどうなるかは不透明だ。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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