ソニーは再び携帯ゲーム機市場の熾烈な争いに参入するようだ。「Nintendo Switch」や、Valveの「Steam Deck」、ASUSの「ROG Ally X」などWindowsベースの携帯ゲーム機が流行する中、ソニーも、携帯型の「PlayStation 5(PS5)」といえるゲーム機を開発中だというわさが流れた。もしそれが本当なら、ソニーは2019年に「PlayStation Vita」の生産を終了して以来、初めて本格的に携帯ゲーム機市場に関わることになる。同社は2023年に「PlayStation Portal リモートプレーヤー」を発売したが、これは独立したゲーム機というよりは、どちらかと言えばPS5をリモートからプレイするためのデバイスだ。
もし今回のうわさが本当で、ソニーが携帯型のPS5(以下、ポータブルPS5と呼ぶ)を作っているのだとすれば、いくつかの重要なポイントがそのゲーム機の成功と失敗を分けることになるだろう。この記事では筆者がポータブルPS5に望む機能を挙げていきたい。
ソニーの過去の携帯ゲーム機である「PlayStation Portable(PSP)」とPlayStation Vitaでは、専用のメモリーカードやメディアが採用された。PSPではストレージにソニーの「メモリースティック PRO デュオ」が、ゲームのメディアには小型のCDのようなUMDディスクが使われた。PS Vitaでもメモリーカードは専用で、ゲームも独自規格のフラッシュメモリーカードに収められていた。PSPやPS Vitaのユーザーの多くは、専用メディアの採用を苦々しく思っていた。もっと簡単に手に入る別の選択肢よりも割高で、容量も少ない傾向があったからだ。ポータブルPS5では、内蔵ストレージには簡単に交換可能なM.2 SSDドライブを使うべきだし、外部ストレージにはmicroSDカードを使うべきだ。あえて物事を複雑にすることはない。
Steam Deckは、399ドル(日本では税込5万9800円)からという価格でPS4と同等の性能を実現している。確かに、PS5を小型化しようとすれば、そう安価なものにはならないだろう。しかしこの新型携帯ゲーム機の開発には何年もかかるだろうし、その頃には部品の値段も下がり、デバイスの価格を下げるのに一役買うはずだ。500~600ドル(約7万5000~約9万円)の範囲に収めるのは難しいことだろうが、それ以上の値段になると、特にPS6の発売がそれほど遠くないであろう状況では、買いたいと思うゲーマーは少なくなるだろう。
ポータブルPS5の電力消費が大きくなることは間違いない。Steam Deckのバッテリーは、ゲームやグラフィック設定に応じて2~8時間持つが、これは十分に理解できる範囲であり、ポータブルPS5にこれを大きく上回ることを期待しているわけではない。筆者が期待したいのは、バッテリーをあまり使わずにゲームをプレイする手段を用意することであり、それはクラウドを使えば実現可能だ。
ソニーがやるべきことは、クラウドゲーミングを選択肢として用意するだけでなく、それをバッテリー持続時間を大きく伸ばすために活用することだ。PlayStation Portalでは実際にリモートプレイやクラウドゲーミングが可能であり、それを実現しているのは安価なQualcommのプロセッサーだ。PlayStation Portalで最も電力消費が激しいのは、8インチのHD液晶ディスプレイだろう。
ソニーは、ゲーミングノートPCの手法を取り入れて、クラウドゲーミング用の最小限の構成を組み込んでおくべきだ。そうしておけば、消費電力が少ない内蔵グラフィックチップを使ってクラウドゲーミングに対応し、消費電力を下げるプレイ方法に切り替えることができるはずだ。クラウドゲーミングであれば10時間から12時間遊べるとなれば、大きな売りになる。
今の携帯型ゲーム機で苛立たしい点の1つは、周辺機器やアクセサリーへの接続の手間が煩わしいことだ。ポータブルPS5は、単体でUSB-C・HDMIケーブルを使ってテレビに接続できるべきだし、無線か有線でPlayStationのコントローラーとペアリングできるべきだし、すでに持っているヘッドホンと、Bluetoothや、USB-Cや、3.5mmのイヤホンジャックで接続できるべきだ。このゲーム機は携帯デバイスであるため、どんな周辺機器とも「iPad」と同じくらい簡単に接続できるべきだろう。また、適切な機器を繋げば、どこでもPS5と同じビジュアルと音声を体験できるようにすることが望ましい。
ポータブルPS5を購入する人の多くは、PS5をすでに持っている可能性が高い。これは、PS5のユーザーは、ゲームを外でもプレイしたいと考えるだろうからだ。この想定通りであれば、ソニーは据え置きのPS5からポータブルPS5に、簡単にプレイ中のゲームを移行できるようにすべきだろう。Appleが実現しているのと同様の切り替え機能を提供してほしい。ポータブルPS5が据え置きPS5の近くにあるときなら、据え置きのPS5から速やかにプレイ中のゲームを引き継げるべきだし、その逆も可能であるべきだ。理想を言えば、据え置きのPS5でゲームをポーズして、ポータブルPS5でその続きをプレイできるといい。ログインしたり、何かを起動したり接続したりしなくても、一方のデバイスからもう一方へとそのまま継ぎ目なく移行してゲームを持ち出せれば完璧だ。通勤や、出張先や、家の中のほかの部屋にゲームを持って行ければ、ゲーマーにとって大きなセールスポイントになるだろう。
「PlayStation 5」(価格をAmazonでチェック)
「Nintendo Switch」(価格をAmazonでチェック)
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス