SBIホールディングスは11月8日、2025年3月期上半期の連結業績を発表した。その中で開示されたSBI証券の連結業績は、売上高が前年同期比13%増となる1158億円、営業利益が前年同期比1.8%増の377億円で、いずれも上期として過去最高を更新した。
SBIホールディングスといえば、前年の2023年8月30日発注分より、国内株式の現物・信用取引の売買手数料を0円とする「ゼロ革命」を開始した。同年12月1日発注分からは米ドル/円のリアルタイム為替手数料もゼロにした。
映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」では、株式の売買手数料が証券会社の収入の柱として描かれた。手数料をゼロにして過去最大の売上高、そして営業利益というのは、一体どこで稼いでいるのか。
SBIの決算資料を見ると、そもそも売上高に占める売買手数料の割合は、ゼロ革命の開始前でも12%に過ぎなかった。売上の主要な柱は、信用取引の金利収入などを含む金融収益が32%、トレーディング収益が26%、投資信託報酬や信用管理料などを含む受け入れ手数料が15.6%だった。このように、もともとも収益源を多様化できていたことが、SBIが真っ先に「手数料ゼロ」に踏み出せた背景とも言える。
とはいえ、手数料ゼロによって上半期は188億円の逸失利益が生じたという。にも関わらず売上高、営業利益とも過去最高を達成できたのはなぜか。
前提となるが、上期である4〜9月は、新NISA開始直後であり、株式市場も「日経平均株価が過去最大の暴落」を記録した8月以降を除くと環境は良かった。世間の投資への関心も非常に高く、投資信託報酬も伸長した。加えてトレーディングの収入も好調で、FX収益と外債にかかわる収益が伸長。上半期は318億円と過去最高を記録した。
そのうえで、ゼロ革命による効果としてSBIがまず挙げたのは、信用取引口座数の急拡大だ。ゼロ革命開始前の拡大ペースは年間16%程度だったが、開始後は44.5%に伸長した。信用取引建玉残高は前年同期比で増加し、7〜9月期の金融収益は四半期として過去最高を達成した。また、米ドル/円のリアルタイム為替手数料を無料化、外国株式の手数料収益が前年同期比で1.6倍に増加したことも寄与したという。
SBIグループは「ゼロ革命」について、顧客基盤の拡大を目的に実施してきた。今回、手数料ゼロと新NISA、そして投資ブームを背景にして、その目的は順調に達成できたとしている。ゼロ革命をきっかけにSBI証券に口座を開設した個人顧客は、SBI証券内のその他の金融商品へ興味の幅を広げるだけでなく、SBIグループが提供する商品やサービスを認知する入口になるとも同社は説明した。
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