「過去に類を見ない値上げで社内が騒然となっている」──。そうXに投稿したのは、神戸市を拠点に日本全国で運行するタンカー船事業者の東幸海運だ。
NTTドコモは10月3日、衛星電話サービス「ワイドスターII」「ワイドスターIII」を4月1日に値上げすると発表。
船舶プランの場合、改定前は30秒が44円だったものが、改定後は177.1円となる。同社のツイートはこの値上げを受けたものだ。
ドコモは値上げの理由について次のように説明した。
「衛星電話サービスに関連するネットワーク設備の維持管理コストが継続的に上昇しているなか、これまで可能な限りコスト削減に取り組むことでサービスの品質確保と安定運用に努めてきたが、自社の努力だけではコスト増に対応することが困難な状況であることから、やむを得ず2025年4月から通話料を改定することにした」
なお、昨今は光ケーブルのない海上でも、衛星からの電波でブロードバンドに接続できる「スターリンク」がある。いっそのこと、スターリンクと通話アプリに乗り換えたほうが快適なのでは… と考えるが、ここにも船舶事業者ならではの事情があるという。
「Starlinkは緊急通報用のGMDSSに対応する通信機器として認められていない」(東幸海運)
日本では安全性を高めるため、総トン数20トン以上の船舶は基本的にGMDSS無線設備を設置する必要がある。そのため、Starlinkを導入しても、ドコモの「ワイドスターII」「ワイドスターIII」は継続して搭載する必要がある。
代表取締役を務める笹木重雄氏はCNET Japanの取材に対して「Starlinkを導入する場合、内航船で一般的な1TBのマリタイムシェアプランでは、概算で船舶1台あたり20万円ほど費用が増える」と述べた。
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