JR東日本は10月13日、JR中央線・青梅線で2階建てグリーン車の連結を開始した。当初は一部編成からの運用で、本格運用が始まる2025年春のダイヤ改正まで「お試し期間」として無料で乗車できる。
連結されるグリーン車は、横須賀・総武快速線の「E235系」と同様に全席にコンセントを備える。テーブルやドリンクホルダー、無料Wi-Fiもあり、移動中に簡単なテレワークも可能だ。
いわゆる「通勤地獄」の緩和にもつながりそうだ。沿線の多摩地区は、遠方まで宅地開発が進んでおり、遠距離の通勤者も多い、そのうえ複々線は三鷹駅止まりでダイヤに余裕がなく、ラッシュ時にはノロノロ運転となることも日常だ。グリーン料金を払えば着席機会が得られるのは安心感が増す。
また、グリーン車の運行範囲は山梨県の大月駅まで及ぶ。テレワークが普及した今、環境が良く居住コストも抑えられる奥多摩や山梨県に居を構えつつ「週に1、2度程度の通勤にグリーン車を使う」という需要も喚起されるかもしれない。
なお、中央線沿線は首都圏の中でも比較的所得水準が高いイメージだ。「グリーン料金を支払ってでも快適に移動したい」と思う人の割合も高そうだ。例えば立川駅でもラッシュ時間帯は東京駅まで1時間近くかかるが、「より遠方の駅で席が埋まって座れない」こともあるかもしれない。2025年春を予定する本格運用後の利用状況にも注目だ。
グリーン車は通勤だけでなく、行楽地への移動にも便利だ。沿線には昭和記念公園、奥多摩の渓流や山々など観光資源が豊富だ。「せっかくのレジャーで通勤電車のロングシート」というのも味気がない。グリーン車を使った快適な移動機会が提供されるのは純粋に喜ばしい。
2階建てグリーン車には1階、2階、そして平屋部分があるが、どの階を選ぶべきか。
まず、最も人気が高いと思われるのは2階席だ。その魅力は、何といっても車窓からの眺めだろう。普段よりも高い視点で、すれ違う列車の屋根も見下ろせる。一方で、地面からの高さのために揺れが大きいのがデメリットだ。
では、両端にある平屋部分はどうか。メリットは、天井が高く開放感がある点だ。そして、2階建てグリーン車で唯一、荷物棚が設置されており、小さなスーツケースくらいなら頭上に収納できる。欠点は連結部に近く、揺れや騒音が大きい点だろう。
最後に筆者はというと、決まって1階席を利用している。2階より眺望が劣るとの意見もあるが、地面すれすれの視点もかなり新鮮だ。そして、地面からの距離が小さい分、揺れが小さい。まるで地面を滑っているような乗り心地で、長時間乗っていても疲れを感じない。また、2階よりも空いていることが多いのも1階を選ぶ理由だ。
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