テスラは日本時間10月11日、ハンドルやペダルを廃し、無人運転に特化したロボットタクシー(ロボタクシー)を発表した。また、既存の「モデルY」「モデル3」でも監視不要の無人運転を米カリフォリニア州から導入するという。
発表されたロボタクシーの「Cybercab」は2人乗りの完全自動運転車で、運転席がない。そして、3万ドル(約450万円)以下での販売をめざす。
このほか「Robovan」という20人乗りの自律走行車も披露した。こうした自律走行システムによって、「クルマを使っていない時は別の人を運ぶ」などが可能になり、都市全体のクルマの台数を大幅に削減し、都市内で駐車場も不要になるとマスク氏は述べた。
Cybercabの生産開始時期についてマスク氏は「2026年」とする一方「私は時間枠について少し楽観的になりがち」と予防線も張った。規制当局の承認次第とも述べた。イーロン・マスク氏はかつて、居眠り可能な完全自動運転が2020年までに実現すると述べていたこともある。
ロボタクシー発表後の株式市場では、テスラ株は一時10%超下落。終値でも前日比で約9%(8.78%)の下落となった。生産時期の不確定性や、詳細不足が投資家の失望を招いたとの声もある。
一方で株式市場には「理想買い、現実売り」という格言がある。テスラに当てはめれば、ロボタクシーが発表される期待感で株を買い、現実になった直後に利益確定に走るということだ。「ロボタクシー発表」というイベントそのものが好材料とみなされ、発表後はその好材料がなくなることから、株価にはマイナスというわけだ。
なお、株価が純利益の何倍かを示す「PER」という指標で、テスラは61倍と高水準だ。トヨタ自動車のPERは約9.4倍だ。EVの成長は2024年から足踏みしており、割高感は否めない状況だ。
この割高な株価には「テスラが単なるEVメーカーではない」ということが織り込まれている。テスラは将来的に、AI技術を活用したロボタクシーやロボット、そしてテスラ車のバッテリーのノウハウを横展開したエネルギー事業で、プラットフォーマーとしての地位を確立することを目指している。また、SpaceXが宇宙輸送や通信を刷新したように、イーロン・マスク氏には構想をやりぬく力があるとの期待も株価には織り込まれている。
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