楽天グループ(楽天G)は10月11日、AST SpaceMobile(AST)株式で約1000億円の評価益を計上すると明かした。
楽天Gが保有するAST株は、これまで持分法により会計処理をしていた。しかし、楽天が保有する議決権比率の低下が続いていることや、ASTにおける取締役構成の変化などでASTに対する重要な影響力を失ったとして、10月11日より金融資産としての会計処理に切り替えた。
これに伴い、10月11日時点のAST株の公正価値と、連結上の持分簿価との差額を、第4四半期連結会計期間において「その他の収益」と「持分法投資損益」に合わせて約1000億円を計上予定だという。
ASTは、米国発の宇宙スタートアップだ。地球低軌道の衛星から地上を携帯エリア化する「スペースモバイル計画」を掲げている。
特徴は、Starlinkの現行サービスなどと異なり、専用アンテナが不要だということだ。市販のスマートフォンが直接衛星と通信できる。スループットはYouTubeが視聴できる程度を目指している。
すでに商用衛星5機の打ち上げに成功しており、今後も続々と衛星を打ち上げる計画だ。最終的には洋上や島嶼部、過疎地など地球上のあらゆる場所で、スマートフォンによるブロードバンド接続を利用できるようにする構想だ。
楽天モバイルは、ASTの衛星通信サービスを2026年に開始し、日本全土の自社回線エリア化をめざす。
楽天Gで代表取締役会長兼社長を務める三木谷浩史氏は、ASTの創業資金について「うちが出した」と話していた。
なお、三木谷氏が直近で明かした現況によれば、日本全土のエリア化には45機程度の衛星が必要だという。さらに、当初は24時間のフルサービスではなく、使用できない時間もあるとしている。
AST SpaceMobileは、特別買収目的会社(SPAC)との合併によって、2021年に米ナスダックに上場した。上場時の株価は10ドルで、その後2ドル台まで低迷していた。しかし、Googleや米携帯大手ベライゾンからの出資を受けたことや、衛星の開発や打ち上げが順調なことなどを背景に、一時38ドルに到達。現在は23ドル前後で推移している。
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