情報通信研究開発機構(NICT)は10月9日、太陽面で大規模な爆発(太陽フレア)が発生したと発表した。地球方面への高速コロナガスの噴出が確認されており、今後数日間にわたって地球周辺の宇宙環境が乱れ、人工衛星の障害やGPSの誤差増大が懸念されるという。
太陽フレアは日本時間10月9日午前10時56分に発生した。コロナガスは日本時間10月10日の深夜以降に地球に到来し、磁気嵐が発生が予測されている。
今回の太陽フレアで影響が懸念されるのは「測位」だという。NICTによると、特に1周波GPSの誤差が増大し、ドローンの利用者への影響が考えられる。なお、クルマは加速度計やLiDARなどさまざまなセンサーを搭載しており、測位への影響は少ないとしている。
スマートフォンの通信への影響は「ほぼない」と考えられるという。利用者から見た基地局と太陽の位置関係によって、主に朝と夕に混信が発生する場合があるものの、今回は日本の昼の時間に電波バーストが発生したことや、今回のバーストが2GHz帯以下で、携帯電話で使われる周波数帯より低いために影響は考えにくいとしている。
さらにスマートフォンの測位への影響についても、スマートフォンは基地局情報などGPS以外の測位を取り入れているため影響は少ないとしている。ただし、非常に激しい電離層の乱れが生じれば、2周波GPSによる精密測位の誤差が増大する可能性があるという。。
人体への影響はないという。増加した高エネルギー粒子およびX線は地球大気に吸収され、地表にはほぼ到達せず、地上の人体が被爆する可能性は低いとしている。
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このところ太陽フレアが相次いでいる。NICTによると。11年周期で知られる太陽活動において、今は極大期を迎えた段階だという。極大期は2〜3年の幅があり、そのピークは2025年前後と予測されている。
今回の太陽フレアの規模はX1.8だ。太陽フレアは米国の気象衛星が観測したX線強度の最大値にもとづいて、小さい方からA、B、C、M、Xに分類される。そして、各クラスににおいてさらに数字でランク付けされる。A〜Mは1.0から9.9まで。Xでは数字に上限はない。M1.0とX1.0、X10.0ではX線量は1倍、10倍、100倍となる。
太陽フレアの発生で話題になるのがオーロラの発生だ。10月9日夜にも北海道でオーロラが観測された。
NICTによると、大きな磁気嵐が発生した場合、北海道などの高緯度地域でオーロラが見えやすい。さらに、街明かりが少なく、北側が地平線まで開けている場所で見やすいという。さらに、新月のときに見やすいという。
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