Appleの「iOS」と「macOS」の最新バージョンでは、新たに「iPhoneミラーリング」機能を使えるようになった。「iPhone」が近くにあれば、別の部屋で充電中だろうと、カバンの底やポケットの奥に埋もれていようと、「Mac」からiPhoneの画面を見たり、操作したりできる機能だ。
iPhoneを手に取らなくていいだけでも便利だが、他にもiPhoneミラーリングが威力を発揮する場面はある。実際、「iOS 18」と「MacOS Sequoia」がリリースされて以来、筆者はこの新機能を「iPhone 16」で頻繁に使っている(iOSの最新のベータ版を入れているなら、iPhoneとMacの間でアイテムをドラッグ&ドロップできる機能も便利だ)。
iOS18とmacOS Sequoiaはすでにリリースされており、他にもテキストメッセージのアニメーション化やiPhoneのホーム画面のカスタマイズといった新機能が追加されている。
iPhoneミラーリングを使う場面として、まず思いつくのはiPhoneを使いたいが、バッグの奥など手が届かないところにあるか、立てない(あるいは、膝の上で猫か犬が寝ている)場合だろう。こんな時は、iPhoneミラーリングを使ってiPhoneにアクセスする方がはるかに便利だ。
しかし、この機能を使うためにはiPhoneがそれなりに近くになければならない。iPhoneを家に忘れてきて、職場からアクセスしたい場合などは使えない。iPhoneミラーリングはAppleの連係機能を使っているため、iPhoneとMacがBluetoothでつながる範囲内にあることが条件となる。
語学学習アプリ「Duolingo」でその日のレッスンを済ませていないことに気づいたが、iPhoneが手元にないという場合も、MacからiPhoneミラーリング機能を使ってiPhoneにアクセスし、連続記録を更新できる。
英単語当てゲーム「Wordle」の今日のお題をクリアしたいが、仕事中にiPhoneをいじるのは気が引ける場合もiPhoneミラーリングを使おう。必要なときは、簡単に画面を覆ったり、隠したりできる。
現在でも、一部の人気サービスはウェブ版よりアプリ版の方がはるかに使いやすい。その筆頭が「Instagram」だ。アプリから投稿した方が使える機能が多い、あるいはユーザー体験が優れていることは珍しくない。iPhoneミラーリングを使えば、iPhoneのインターフェースをほぼそのまま使えるので、指ではなくマウスを使って普段通りに投稿できる。
筆者は仕事でスクリーンショットを撮ることが多いが、プライベートではさらに多くの写真を撮る。撮った画像はすべてiPhoneの「写真」ライブラリに保存される。これらの画像は「iCloud」経由で筆者のMacと同期されるが、そのタイミングは率直なところiPhone次第だ。特定の画像をMacですぐに使いたいときは、同期されるのを待たずに「AirDrop」を使ってMacに転送している。これでも問題はないが、手間はかかる。
しかし2024年末までには、iPhoneミラーリングアプリを使って、iPhoneとMacの間で画像だけでなく、あらゆるファイルをドラッグ&ドロップできるようになる見込みだ。しかも、iPhoneからMacだけでなく、MacからiPhoneにも転送できる。Macのファイル管理ツール「Finder」から、ミラーリング先のiPhoneに動画や重要なPDFをドロップすると、そのファイルがiPhoneに転送される(現在、この機能を試せるのは最新のiOS 18.1とmacOS Sequoiaのベータ版のみ)。
macOSは長年、システム拡張機能やログイン項目、さまざまなバックグラウンドプロセスをサポートしてきた。こうしたファイルは通常、ユーザーが気づかないうちに実行される。例えば、一部の大規模なアプリケーションスイートは、まるでレゴの箱をひっくり返したかのように多数の不要なファイルをシステム内に残す。多くの場合、リソースへの影響はわずかだが、ストレージやプロセッサーのリソースを消費することに変わりはない。
これと対照的に、iOSは一貫してサイロ化されたシステムとして構築されており、各アプリは独自の保護されたストレージを持ち、他のアプリとのやり取りは厳密に管理されている。特に、使用頻度は低いが残しておく必要があるアプリはモバイル版をインストールした方が、macOS環境で起こりやすいジャンクファイルの蓄積を避けられる。
iPhoneミラーリングを使えば、iPhoneにインストールしたアプリをMacからも使える。不要ながらくたでMacのストレージを圧迫する心配もない。
残念なことに、今回紹介しているアイデアは結局のところ、一部の機能は「ウェブサイトよりもアプリ版の方が優秀」という結論になってしまう。その最たる例が銀行サイトだ。
銀行や投資関連のサイトの場合、Macのウェブブラウザーからアクセスするよりも、iPhoneミラーリングを使ってiOSアプリにログインする方が簡単な上に、安全であることが多い。iPhoneアプリを開くときに認証は必要だが、その手間を差し引いてもモバイルアプリの方が利便性は高い。
iOS 18では、秘密にしたいアプリを非表示にしたり、Face ID等による認証を義務づけたりできるようになった。こうしたアプリをMacのアプリやウェブインターフェースからではなく、iPhone上で使いたい場合、iPhoneミラーリングを使えば、iPhoneが手元になくてもアクセスできる。
実際にMacからiPhoneミラーリングを使ってiPhoneにアクセスすると、予想通り、Mac側で認証を求められる。そこでMacのログインパスワードを入力するか、Touch IDを使うか、連係した「Apple Watch」で認証すると、iPhone上のロックされたアプリや非表示フォルダをMacで表示できるようになる。
これはニッチな用途かもしれないが、オンラインや対面でのプレゼン中にiPhoneの画面を見せる必要があるときは、iPhoneミラーリング機能を使えば簡単に実現できる。
これまでは、オーバーヘッドカメラを使う方法を除くと、iPhoneをMacに有線接続し、「QuickTime Player」を使ってiPhoneの画面をMac上に表示するという方法が一般的だった。この場合も、iPhoneは直接手で操作する必要がある。
しかしiPhoneミラーリングを使えば、iPhoneにワイヤレスで接続し、Macのトラックパッドやマウス、キーボードを使ってiPhoneを操作できる。
この方法の大きな欠点は、iPhoneで何らかの操作を行うと、ミラーリングが一時停止してしまうことだ。
あまり話題にならないが、Appleは「AirPlay」を使ってiPhoneからMacにメディアをストリーミングするという連係機能を用意している。映画や好きなテレビ番組を観てリラックスしたいときは、iPhoneで再生し出力先としてMacを選べば、大画面で映像を楽しめる。
AirPlayを使わなくても、iPhoneミラーリングを使えば、手元にないiPhoneを操作してMacのディスプレイで映画を再生できるのではないかと思った人もいるだろう。しかしデジタル著作権管理(DRM)により、iPhoneミラーリングをこの用途で使うことはできない。「TV」アプリ等を開いてメディアを操作することはできるが、黒い画面が表示されるだけだ。
この黒い画面は、iPhoneミラーリングの起動中にAirPlayを使ってストリーミングしようとした場合も表示される。Macにメディアをストリーミングしたいなら、iPhoneを直接操作するほかない。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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