イヤホンがその機能を発揮するのは、装着者がその存在を忘れているときだ。それは、耳の穴に入れるタイプのものでもヘッドホンタイプのものでも変わらない。実際に、良いイヤホンとは、別の作業をするときに良き相棒になってくれるもので、運動の際に骨伝導ヘッドホンを使用すれば楽しく体を動かせるし、ノイズキャンセリングイヤホンを使用すればおしゃべりが行き交うオフィスでも8時間ぶっ通しで仕事に集中できるだろう。
だから、筆者が好きなデザイン重視のテクノロジー企業の1つであるNothingの最新型イヤホンEar (open)が送られてきたとき、筆者が午後に行っているランニングやウォーキングにどれだけの違いがもたらされるのか確認してみたくなった。結論を簡単に述べると、Ear (open)はランナーの新たな相棒となる製品で、その価値は価格以上だ。詳しく知りたい人は、このまま読み進めてほしい。
Ear (open)はNothing初のオープンイヤー型イヤホンで、ノイズキャンセリングや静かなリスニング体験ではなく、状況認識や外出時を想定して設計されている。ノイズキャンセリングイヤホンを使用すると、耳の中が圧迫されて、周りの環境から断絶されてしまったように感じることがあるので、それが嫌な人は、オープンイヤー型イヤホンの方がいいかもしれない。
オープンイヤー型イヤホンは何よりもまず運動に最適だが、優秀なオープンイヤー型イヤホンは、十分な音量と快適なつけ心地を備えていれば、多くの状況で使用できる。
Ear (open)は、この2つをクリアしている。オープンイヤー型イヤホンの重要な要素であるつけ心地から説明しよう。Ear (open)は、筆者がこれまでに試した中で最も軽量でつけ心地も抜群のオープンイヤー型イヤホンだ。その大きな理由は、フィット感のあるシリコンに包まれた柔軟かつ軽量なイヤーフックにある。装着したときの耳からぶら下がる感じも目立たないので、一日中着けても不快感はない。
スピーカーは耳の穴の真上に来るものの、耳を完全に覆うわけではないので、周囲の音も常に聞こえる作りになっている。とにかく不快な点が一切ないイヤホンで、耳から離れずにずっと心地よい音楽を流してくれるので、特にランニング中やマットを使ったエクササイズをしているときなどは最高だ。
Ear (open)は、奇跡的なほど大きな音を出せる一方で、状況認識を常に最優先に考えられている。にぎやかな通りを走っているときや混雑したジムで運動をしているときに音量を半分まで上げても、すべての音をはっきりと聞くことができる。最大音量は、筆者の場合、静かな部屋で聴くときにはうるさすぎるが、にぎやかな通りを走っているときには問題ない。
耳を完全にふさぐ作りではないので、音漏れがひどいのではないか、と思う人もいるだろう。Ear (open)のユーザーのほとんどが使用するであろう中程度の音量で音楽を流してみたところ、筆者のルームメイトには聞こえなかった。しかし、30cmほど離れたところで大音量にしてみると、ルームメイトにも音楽が聞こえるようになった。これは、音漏れを最小限に抑えるNothingの「Sound Seal System」テクノロジーと指向性スピーカーのおかげだ。
サウンドステージも広く、クリアかつ鮮明で、臨場感のある低音重視のリスニング体験を楽しめる。音量を最大まで上げでも、没入感のある体験を得ながらも周りの状況を常に認識することが可能だ。筆者は今、イヤホンの音量を最大にした状態でこの記事を執筆しているが、それでも、自分がキーボードをたたく音が聞こえてくる。
バッテリー持続時間は8時間だが(ケースを使うと30時間の使用が可能)、これも問題はない。数日間にわたって、デスクワーク中や公園でのランニング中に使用したが、バッテリー残量を示すライトが消えることはなかった。マルチポイントBluetoothも(ほとんどの場合)きちんと機能する。接続も、筆者がこれまでに試したNothingのほかのイヤホンと同様、簡単にできる。
正直に言うと、Ear (open)に関しては、欠点が1つも思いつかない。149ドル(日本では税込み2万4800円)という価格を考えると、なおさらだ。このオープンイヤー型イヤホンの品質は、価格をはるかに上回っている。Ear (open)は、長時間の運動に使用でき、一日中装着しても気にならず、状況認識もできるイヤホンを求めているアクティブな人にお薦めしたい。
それ以外の人も、散歩や通話(ちなみに、通話の音声もクリアだ)にお薦めだ。仕事中、周囲の話し声を完全にはシャットアウトせずに音楽やポッドキャストを流したいという人にもいいだろう。Ear (open)なら、会話をすることも、周囲の音をはっきりと聞くことも、お気に入りの楽曲を聞くことも可能だ。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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