[ブックレビュー]面倒でややこしい「他者と働くこと」と向き合う--「働くということ」

フライヤー編集部2024年09月28日 08時00分
集英社
内容:現代を生きるビジネスパーソンの多くは、より秀でた能力を手に入れるために今日も何かしらの努力を積み重ねている。書店には自己啓発書が一等地に平積みされ、「まだ足りない」と我々を煽るようである。本書は、そうしてはびこる「能力主義」へと一石を投じる1冊だ。

 現代を生きるビジネスパーソンの多くは、より秀でた能力を手に入れるために今日も何かしらの努力を積み重ねている。書店には自己啓発書が一等地に平積みされ、「まだ足りない」と我々を煽るようである。本書は、そうしてはびこる「能力主義」へと一石を投じる1冊だ。

 著者の勅使川原真衣氏は外資コンサルティングファームを経て、組織開発事業を手がける「おのみず株式会社」を設立した、組織開発のプロフェッショナルだ。通読すれば、これまで必死に「選び・選ばれ」ようとしてきた自らの価値観が揺らぎ、働くことへの見方が大きく変わることだろう。要約者も、「先の見通せない不透明な時代に、自分の身は自分で守らねば」といった思いで必死に他者との差別化を図ろうとしていた自分に気づけた。

 受験戦争、スポーツ大会、就職活動に年次の査定、果てはパートナー探しに至るまで、私たちは当たり前のように「選び・選ばれる」社会を生きてきた。あまりに定着しすぎているために、そのことに対して一粒の疑問すら浮かばない。本書はそんな現代の状況を問いなおし、働くということの本質に迫る。

 現代を生きづらく感じる人、個々の能力で線引きされて評価されることにモヤモヤを抱える人、そしてマネジメント職に就くすべての人に本書を勧めたい。一元的には規定できない、めんどうでややこしく、人間くささ満載の「他者と働くこと」について、正面から向き合うことができるはずだ。

今回ご紹介した「働くということ『能力主義』を超えて」の要約記事はこちら。この記事は、ビジネスパーソンのスキルや知識アップに役立つ“今読むべき本”を厳選し、要約してアプリやネットで伝える「flier(フライヤー)」からの転載になります。

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