パナソニック エレクトリックワークス社は8月21日、「照明を軸にした空間提案・ソリューション提案事業説明会」を開催した。新無線照明制御システム「LiBecoM(リベコム)」を活用し、位置情報サービスなどを組み合わせた新たなサービスを打ち出す。
リベコムは、設定操作アプリを搭載した専用タブレットとシーン選択リモコンで複数の照明を一度に操作できる照明制御システム。LEDによる低電力化と調光の活用により、消費電力を抑制できる省エネ効果のほか、調光信号線工事や親器不要による短工期、省施工、省設計の実現。照明から発信するビーコンを利用した位置情報サービスなどの特性を併せ持つ。
なかでもビーコンを利用した位置情報サービスは、店舗、オフィス、工場、病院などで活用できる新機能。パナソニック エレクトリックワークス社 綜合企画室 照明立地活用プロジェクト 課長の田上直紀氏は「照明から発信するビーコン信号にユニークなIDを付与し、その下にいる人が持つスマートフォンがこの信号を受信することで、誰がどこにいるのかわかる仕組み」と新たなサービスを打ち出す。
ビーコンは、位置情報の取得に有効な技術だが、バッテリー式のため電池交換が必要になったり、遮蔽物があると正確な位置がつかめないなどのデメリットがあった。リベコムでは、照明制御用の無線モジュールがビーコン信号も発信する形態のため、照明の給電をそのまま使える。さらに天井に設置されるため、遮蔽物が少なく正確な位置がわかる、などのメリットがあるという。
「店舗においては、お客様の目がどこに止まっているのかを把握し、買い回りをより活性化できたり、プッシュ配信と組み合わせることで来店ポイントの付与なども可能。オフィスでは、フリーアドレスでどこに人が座っているかや混み具合がわかる。工場では、フォークリフトの稼働を分析することで最適化し、生産性の改善につなげられる」と活用方法を紹介。「サービス内容や対象市場は順次拡大していく予定。屋内位置情報サービスのインフラを目指したい」(田上氏)と今後を見据える。
同様に空間価値を高める照明手法として期待されるのが「メリハリ照明」だ。これは、作業面は明るく、周辺面は程よく明るく保つというもの。蛍光灯による均一照明に比べ、空間の雰囲気が異なることが特徴で、集中力の向上やコミュニケーションの促進などにもつながる。
パナソニック エレクトリックワークス社 ライティング事業部 ライフスタイルライティングBU BU長の山中直氏は「オフィスなどで使用する蛍光灯の均一照明に比べると、蛍光灯からLEDのメリハリ照明にすることで60%、LEDからLEDへの切り替えでも30%以上の省エネ効果が期待できる」と省エネにも寄与することを強調した。
パナソニック エレクトリックワークス社では、非住宅照明が成長を牽引しており、2023年は2021年比で122%の販売実績になっているとのこと。山中氏は「脱炭素需要の継続など、安定的な見通しを持っているが、長期的には、いかに空間価値ソリューション事業を拡大していくかが鍵になってくる。これら商品の割合を2030年には40%にしていきたい。天井から空間をセンシングし、サービスを提供する新たなポジションを獲得することでさらなる事業成長をとげていきたい」と今後について話した。
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