「Facebook」「Instagram」「WhatsApp」を運営するMetaが、ある新サービスの提供を米国で開始した。このサービスでは、自身や架空のキャラクターの人工知能(AI)チャットボットを作成することが可能で、他のユーザーはそれらのチャットボットにダイレクトメッセージ(DM)をいつでも送信できる。
今回Metaがリリースしたのは、「AI Studio」と呼ばれる新しい無料のサービスだ。AI Studioは、2023年秋に初めて発表されたサービスで、人気の高いインスタグラマーたちと一緒にゆっくりとテストが進められてきた。Metaによると、同社が目指しているのは、ファンが好きな芸能人やネット上の有名人ともっと簡単にオンラインでつながれるようにすることだという。同時に、AI Studioは、コンテンツクリエイターが熱心なファンからのメッセージに素早く対応する際にも役に立つ、としている。
Metaはプレスリリースで、「AI Studioを使用すると、Instagramのクリエイターは自身の延長としてAIをセットアップし、DMでよく受け取る質問やストーリーへのコメントに素早く返答することができる」と説明している。クリエイターは、自らのInstagramコンテンツに基づいてAIをカスタマイズし、避けるべき話題や共有したい特定のリンクについて、AIに指示を与えることもできるという。「自身に関する事実を共有するにせよ、お気に入りのブランドや過去の動画のリンクを掲載するにせよ、より多くの人々にリーチしたり、ファンに素早く返答を送ったりできるよう、クリエイターのAIがサポートする」
MetaがクリエイターのAIチャットボット作成機能を開発したのは、チャットボットアプリを利用する人が増えているからだ。人々はこうしたAIチャットボットを作成して使用し、Leonardo da Vinciのような歴史上の人物から、J.R.R. Tolkienの小説「指輪物語」やMarvelの「X-MEN」に触発されたキャラクターまで、あらゆる種類のパーソナリティーとの会話をロールプレイ形式で楽しんでいる。
こうしたキャラクターは、インターネットから収集されたデータを使って訓練された大規模言語モデル(LLM)をベースとしている。LLMは、OpenAIの「ChatGPT」からGoogleの「Gemini」、そして、今回発表されたMetaのキャラクター機能まで、あらゆるものに利用されている。
こうしたテクノロジーには驚かされるが、論争も巻き起こっている。こうしたAIの基となっているデータがどのように収集されているのか、そして、アーティストや作家はこうした機能を可能にする作品の対価として適切な報酬を得ているのか、といったことを問題視する人もいる。俳優らは、映画やテレビ番組、ビデオゲームなどでAIに仕事を奪われるのではないか、と懸念を表明している。
Metaとしては、キャラクターのAIチャットボットについては、よりゆっくりとしたアプローチを取っているようだ。
2023年、同社はラッパーのSnoop Doggや元NFLスター選手のTom Brady氏などの著名人と協力し、MessengerやInstagramでメッセージをやり取りできるAIパーソナリティーを作成した。キャラクターは、テーブルトークRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」の愛好家や何でも議論できるスポーツマニアなど、多岐にわたった。
そして今回、Metaは同様のツールを提供開始した。AI Studioは無料だが、今のところ米国でのみ利用可能であり、今後の展開については明らかにされていない。
MetaはAIに透明性を与え、チャットの相手が人間ではなくAIであることを明示するという。
例えば、MetaはポッドキャストのホストでコメディアンでもあるViolet Benson氏と協力してAIを作成した。同氏のInstagramプロフィールを訪問し、メッセージを送ると、「Violetta Elaia BensonはAIの自動返信機能がオンになっています。AIによって生成されたメッセージの一部は不正確または不適切である可能性があります」という警告メッセージが表示される。
また、チャットボットによるメッセージの前には「AI Violetta Elaia Benson」のように、「AI+名前」が表示される。
このチャットボットに本物のBenson氏なのかを尋ねたところ、AIは「彼女と同じようにあなたと会話するためにここにいます」と、確かにAIであると答えた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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