AI搭載のチャットボット「ChatGPT」をすでに検索エンジンとして考えている人もいるかもしれない。「Google検索」や「Bing」に入力するようなクエリを入力できるからだ。しかし、ChatGPT開発元のOpenAIは、独自の検索エンジン「SearchGPT」のプロトタイプをテスト中だと発表した。
「ウェブ上で答えを見つけるには多くの労力が必要で、多くの場合、関連性のある結果を得るには何度も試す必要がある」と、同社は米国時間7月25日の発表で述べた。「ウェブからのリアルタイム情報で当社モデルの会話機能を強化することで、求めているものをより速く、より簡単に見付けられるようになるはずだ」
AIチャットボットは、インターネットを含むさまざまな情報源から得られる膨大な量の「トレーニングデータ」を活用している。しかし、数カ月前の情報が使われていることも多い。例えば、ChatGPTの無料版では、時事問題や最新の情報に関する知識が不足している。
OpenAIはこの問題に対処しようとしている。同社は発表の中で、「SearchGPTは、ウェブの最新情報を使ってユーザーの質問に素早く直接に回答し、関連情報への明確なリンクも提供する」と述べ、さらにユーザーは自分の質問に対してフォローアップの質問をすることで、より詳しい情報を入手できると述べた。
一方、インターネット検索の約90%を占める検索の王様Googleには、独自のAIチャットボット「Gemini」がある。Googleは5月、検索結果の上部にGeminiが生成する概要を表示する「AI Overviews(AIによる概要)」を提供開始した。当初は不適切な情報が表示されることもあったが、Googleはすぐにこの問題に対処した。
24日にはMicrosoftが、Bingに生成AIを取り入れる新機能を発表した。同社によると、現時点では「ユーザーのクエリのごく一部」が対象だという。
OpenAIのSearchGPTは最終的にChatGPTに統合される予定だが、現時点では一般提供されていない。試したい人はウェイトリストに登録する必要がある。
OpenAIは検索分野に参入するに当たり、慎重な対応が求められるだろう。最近、AI検索エンジン「Perplexity」がWiredやForbesなどのコンテンツを盗用したとして批判された。Perplexityの最高経営責任者(CEO)はAssociated Pressに対し、「当社は誰かのコンテンツを盗用したことはない」と述べた。また、同社の広報担当者は6月に米CNETに対し、Perplexityはメディア企業向けの収益分配プログラムを構築中だと語った。
OpenAIはすでに、ChatGPTに与えたトレーニングデータに関して法的措置を取られている。The New York Timesは2023年12月、OpenAIとMicrosoftを相手取り、「The Timesのコンテンツを無料で使ってThe Timesの代替となる製品を作り、購読者を奪っている」として訴訟を起こした。OpenAIは、この訴訟には「根拠がない」としている。
OpenAIは今回の発表の中で、同社はパブリッシャーやクリエイターと協力しており、SearchGPTではニュースソースとリンクを明示すると述べた。AI検索についてOpenAIと提携するのが楽しみだという、The AtlanticのCEOであるNicholas Thompson氏のコメントも紹介している。
OpenAIの発表この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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