鉄道メンテナンスに「人型ロボット」を本格導入--JR西日本グループ、7月に使用開始

 JR西日本は6月27日、同社グループによる鉄道整備メンテナンスに「多機能鉄道重機」を導入し、使用を開始すると発表した。

「多機能鉄道重機」(奥)とそのツール類(手前)
「多機能鉄道重機」(奥)とそのツール類(手前)

 多機能鉄道重機は、人型のロボットを中心とした、メンテナンス用の作業機械。工事用の車両に搭載し、車両の操縦室から直感的な操作により遠隔操縦ができる。手に相当する部分はアタッチメントにより付け替えが可能。導入時点では、塗装ツール、把持ツール、伐採ツールを用意する。また、最大40kgの重量物把持に対応し、最大12mの高所作業も可能となっている。

多機能鉄道重機の外観
多機能鉄道重機の外観
カ操縦者が装着するヘッドマウントディスプレイ(HMD)と連動して動く
カメラを設置したロボットの「顔」。操縦者が装着するヘッドマウントディスプレイ(HMD)と連動して動く
操縦は遠隔。直感的な操作により、操作技術は容易に習得可能だという
操縦は遠隔。直感的な操作により、操作技術は容易に習得可能だという
40kgまでの重量を把持できる「把持ツール」
40kgまでの重量を把持できる「把持ツール」

 この機械は、JR西日本グループが出資する人機一体による「零式人機」をベースに、JR西日本グループ、信号通信機器メーカーの日本信号を含めた3社が、共同で開発してきた。零式人機と比較すると、現場での使用を想定し、耐久性の向上や、操縦性の改善を図ったという。

 近年、鉄道メンテナンス分野では、労働力不足が課題となっている。JR西日本グループでは、「中期経営計画2025」において、持続的進化に向けたハード・ソフトの機能向上を掲げている。本機械はその一環として取り組んだもの。高所でのメンテナンスに対応する汎用性の高い鉄道重機を開発することで、作業に要する人手を約3割削減できるほか、安全性の向上、多様な人財の就業環境創出を実現するとしている。

 JR西日本グループでは2024年7月に、本機械の使用を開始。まずは架線支持物の塗装、支障樹木の伐採といった場面で活用する。JR西日本 代表取締役社長の長谷川一明氏は、まずは京阪神圏で導入すると説明した。JR西日本は、今後もツールの開発を継続し、対象作業を拡充する予定であるほか、道路トンネル内の点検や塗装、交通信号機などの取り替えといった、他のインフラメンテナンスにおいても、多機能鉄道重機を展開していく姿勢を示している。

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