タニタは6月20日、東京大学高齢社会総合研究機構(東京大学IOG)と、都市型スマート農園の活用による社会的・身体的フレイル予防に関する共同研究を開始すると発表した。
フレイルとは、健康な状態と要介護状態の中間にあるような、加齢による心身の衰えを指す。共同研究は東京都板橋区にあるタニタ本社敷地内の「タニタふれあい農園」を実験フィールドとし、都市型スマート農園での体験が、社会的・身体的フレイルに及ぼす予防と改善効果を検証する。まずは板橋区の地域住民を対象に参加希望者を募集し、7月から実証実験を開始するという。
タニタによると、日本は2065年に人口の38%以上が65歳以上、さらに25%以上が78歳以上の超高齢社会へ向かっている。高齢化が進む中で医療費の増大は大きな社会課題となっており、その要因の1つとして、フレイルが注目されている。フレイルは進行すると日常生活活動の低下を経て要介護の状態に陥るリスクがあり、身体的な衰えと合わせて、社会とのつながりを失うことが入口だと考えられているという。
「タニタふれあい農園」は、参加者に区画を貸し出すのではなく、共同で農作物を育成していくコミュニティー型の農園。参加者同士でコミュニケーションを取りながら、専用のアプリのアドバイスに従って水やりや土寄せ、間引き、収穫などのアクティビティーを体験する。
タニタと東京大学IOGは、こうした農園での体験を通じて形成される参加者のコミュニティーが社会的フレイルのリスクを低減させると考え、そのメカニズムを検証すると共に、より効果的な介入手法を検討する。
ほか、収穫した野菜をタニタ食堂やタニタカフェのレシピをもとに調理して参加者に提供したり、バーベキューパーティーを開催したりなど、コミュニティーを活性化させるさまざまな施策を展開して、その効果を検証する。同時に、都市型スマート農園で取り組む農作業が自然と体を動かすエクササイズになると考え、身体的フレイルへの影響も検証するという。
タニタと東京大学IOGは、各者の計測技術とフレイルに関する知見を活用することで、フレイルの予防と改善効果を可視化し、エビデンスに基づく事業の構築を目指す。今回の共同研究により、高齢者の身体機能を維持するだけなく、地域住民同士の交流を加速する取り組みとしてその可能性を検証し、健康増進の新たなアプローチ手法を確立していくという。
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