ニコン、新型ミラーレスカメラ「Z6III」発表--「部分積層型CMOSセンサー」を世界初採用

 ニコンは6月17日、新型ミラーレスカメラ「Z6III」を発表した。7月12日の発売を予定しており、6月19日10時に予約受付を開始する。

ニコン「Z6III」
ニコン「Z6III」

 Z6IIIは、フルサイズセンサーを搭載したミドルクラスの製品。2020年に発売した「Z6II」に続く、Z6シリーズの最新機種となる。クリエイティブ志向のユーザーや映像クリエイター、さらに上位機種の「Z9」「Z8」ユーザーのサブ機ニーズなどを想定しているという。

 Z6IIIのセンサーには、「部分積層型CMOSセンサー」を採用した。画素領域の上下に高速処理回路を配置することで、一部を積層型センサーとしたもので、フルサイズミラーレスカメラとしては世界初の採用となる。これにより、イメージセンサーの読み出し速度は、Z6II比で約3.5倍という高速化を実現した。有効画素数は、約2450万画素。常用ISO感度は、動画撮影時でISO51200、静止画撮影時はISO64000。

「部分積層型CMOSセンサー」を採用したZ6III。センサーの有効画素数は約2450万画素
「部分積層型CMOSセンサー」を採用したZ6III。センサーの有効画素数は約2450万画素

 イメージセンサーの読み出し速度向上により、連写機能はZ6IIより性能が向上した。メカシャッターによる連写のほか、電子シャッターによる撮影時の機能として、DX(APS-C)フォーマットにクロップした状態ながら秒間最大120コマの撮影が可能なモード、FX(フルサイズ)フォーマットで秒間最大60コマの撮影が可能なモードを搭載。また、シャッターボタンを押してから、最大1秒前までさかのぼって記録する「プリキャプチャー」にも対応している。

 AF性能は、Z6II比で合焦速度を約20%高速化。-10EVの暗さでもAF検出を可能とした。また、2023年に発売した「Zf」同様に、人物、犬、猫、鳥、飛行機、車、バイク、自転車、列車の9種類の被写体を検出する機能を有する。

 動画機能では、6K RAWや5.4K ProRes 422HQおよびH.265、6Kオーバーサンプリングによる4K UHD 60p撮影に対応。RAW動画のカメラ内収録、電子手ブレ補正、ハイレゾズーム、タイムラプス動画といった機能も有する。また、フルHD 240pでの撮影に新たに対応。最大10倍のスローモーションが撮影できる。

 EVFの解像度は、約576万ドット。明るさは4000カンデラ/m2に対応し、3000カンデラ/m2だったZ9、Z8を超えるスペックを有する。加えて、HLG設定時においては、DCI-P3相当の広い色域をカバーし表示できる。

 ボディのデザインは、従来のZ6シリーズの構成を踏襲しつつ、Z9、Z8との親和性を図った。従来のZ6IIでは、再生ボタンと連写設定ボタンの配置が、Z9、Z8と異なっていた。Z6IIIではこれを統一し、Z9やZ8のサブ機として使用する際の操作性に配慮している。ボディの素材では、前面にはマグネシウム合金、背面や天面には帝人が開発した「Sereebo Pシリーズ」を採用。シーリングも施しており、Z8同等の堅牢製、信頼性を謳う。背面モニターは、Z6IIのチルト式から、バリアングル式に変更。動画撮影ニーズに配慮した。

 バッテリーは、Z6IIやZ8と同じ「EN-EL15c」を採用した。また、Z6IIIにあわせ、ニコンではバッテリーパワーパック「MB-N14」を新たに発売。同製品を組み合わせることで、ボディ単独での撮影時と比較し、電池寿命を約1.9倍とすることができる。なお、同製品は従来のZ6IIおよび「Z7II」でも使用できるという。一方、Z6IIに対応する従来のバッテリーパワーパック「MB-N11」は、Z6IIIには対応しない。

 ボディ内手ブレ補正機構は、8.0段の効果を発揮。「Zf」同等でZ9、Z8以上のスペックとなる。また、フォーカスポイント付近のブレを抑制する「フォーカスポイントVR」にも、Zfに引き続き対応している。

 Z6IIIの発売にあわせ、ニコンは画像・動画編集ソフト「NX Stuidio」に「フレキシブルカラーピクチャーコントロール」を追加する。撮影時に色味などを、ユーザーの好みで調節できる「カスタムピクチャーコントロール」の編集機能で、色相や彩度、明暗、白レベル、黒レベルなどを、それぞれ別に調整できる。作成したカスタムピクチャーコントロールは、メモリーカードやクラウド経由でカメラ内に保存できる。

 また、Z6IIIは新ソフトウェア「Nikon Imaging Cloud」にも対応する。カメラで撮影した静止画を自動でアップロードする機能や、ファームウェアのアップデート機能のほか、自作したピクチャーコントロールファイルや、クリエイターが撮影したピクチャーコントロールを、「レシピ」として保存し、カメラ内に最大9個送信することができる機能を持つ。Nikon Imaging Cloudのリリース日は、後日改めて発表の予定。また、リリース時点ではZ6IIIのみの対応となる。

 Z6IIIの価格はオープンプライス。ニコンのECサイト「ニコンダイレクト」での発売額は、ボディ単体が43万5600円、「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」が付属するレンズキットが55万1100円となる。バッテリーパワーパックもオープンプライスで、推奨価格は約6万3000円だ。

 ニコンでは、Z6IIIの発売にあわせ、従来機のZ6IIに、NIKKOR Z 24-120mm f/4 Sのレンズキットを追加する。特製の化粧箱を使用し、ボディやレンズのほか、ストラップ、アクセサリーシューカバー、予備バッテリー、レンズ用のフィルター「ARCREST II」が付属する。推奨価格は、39万9300円。発売日は6月28日で、数量限定での取り扱いとなる。

Z6IIIにあわせて発表した、Z6IIとNIKKOR Z 24-120mm f/4 Sのレンズキットの内容
Z6IIIにあわせて発表した、Z6IIとNIKKOR Z 24-120mm f/4 Sのレンズキットの内容

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