AIによるソフトウェアテスト自動化ツール「Autify」を展開するオーティファイが、脱SaaS企業を宣言し、リブランディングを発表した。既存のテスト自動化ツールに加え、2つの新サービス「Autify Genesis/Pro Service」(Genesis/Pro Service)をラインアップし、企業における人手不足解消と競争力向上の課題に立ち向かう。
オーティファイは2016年に設立。自らエンジニアとしてソフトウェア開発を手掛けていた近澤良氏が立ち上げた。「日本、米国、シンガポールなどでソフトウェアエンジニアとして働いたが、どの国のどの環境でもしんどかったのがテストすること。エンジニアが省力化したいテストという仕事をなんとかしたかった」という思いから、ソフトウェアテスト自動化ツール「Autify」をリリースした。
リブランディングにあわせ、既存のテスト自動化ツールであるAutifyは「Autify NoCode」(NoCode)へと名称を変更。テストケース作成ツールのGenesisと、品質保証のPro Serviceを加え、ソフトウェア開発サイクルを一気通貫で支援するプラットフォームへと進化させる。
「NoCodeを提供し、テスト環境の負荷を軽減してきたが、自動化ツールだけでは解決できない問題がでてきた。その1つが『そもそも何をテストしないといけないのかわからない』ということ。そこで何をテストすればいいのかまで踏み込んだサービスとして開発したのがGenesisになる」(近澤氏)と背景を話す。
Genesisは製品仕様書を生成AIが分析、テストケースを自動的に作り出すツール。仕様書さえあれば、テストケースの生成からテストの自動化までをワンストップで担う。さらにPro Serviceを組み合わせれば、オーティファイのテストのプロフェッショナルがテスト戦略から品質分析、自動化戦略、自動化の構築運用までの業務を伴走支援する。
「人手不足が深刻化する中、システム開発におけるAIの浸透はすでに始まっている。プログラミングに使用し、生産性が126%向上したというデータもある。ただ『ChatGPT』や『Copilot』を導入しても、そこからどうするのかわからないのが現状。AIツールを入れ、その先どうやってインパクトを出すのかが求められている」(近澤氏)と現場の課題を挙げる。
「テストは開発工程中の約3分1を占めると言われるほど重い工程で、人手がかかる。ただ、繰り返しの作業になるため、AIや自動化が適用しやすい領域。ソフトウェアのテストの部分に注目し生産性を改善すれば、システム開発全体を向上させられる」(近澤氏)ともっとも効果的に生成AIを活用できる工程の1つだとする。
社内でテストしたところ、テストケースを作る作業で55%の工数削減に結びついたとのこと。「テストケースが自動的に作れるので、エンジニアはそれをレビューするだけでよくなる」(近澤氏)と効果は検証済みだ。
Genesisがあらゆるテストの現場で活用できるのは、NoCodeの開発で培った知見があるからだ。「重要なのは仕様書に加え、製品のドキュメントも学習データとして提供している点。これはNoCodeの開発と運営で蓄積してきたものを活用している。重要なのはプロンプトの与え方」(近澤氏)と、オーティファイならではの強みを明かす。
「テストは必要な工程だが、エンジニアの多くは省力化したいと感じている。それよりも設計に時間を割きたいはず。こうした思いがわかるのは現場の人間だった私だからこそ。オーティファイは今までテストを自動化するツールの会社だったが、今後はソフトウェア開発に関する悩みを解決できる会社になりたい」(近澤氏)とリブランディングにかける思いを話した。
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