電通は6月10日、電通グループ、電通デジタルとともに、メタバースをはじめとする3D空間メディア、イマーシブ(没入型)メディアが生活者に与える心理的影響やマーケティング効果について、「ブランドイマーシブタイム」という指標を提唱し、顧客企業のマーケティングへの活用に向けて、検証を推進することを発表した。
メタバースの市場規模は、世界では2030年に123兆9738億円へ、日本では2026年度に1兆42億円まで拡大すると予測されており、メタバース上での商品購入やバーチャル展示会、接客や教育など、さまざまな用途での活用が高い注目を集めている。一方で、こうした3D空間メディアでは、既存メディアと比べてユーザーの体験や行動が複雑なため、行動データの活用が困難であり、マーケティング効果を測定する確立された手法がないことが、業界としての課題であると指摘する。
これまでは、企業がメタバース空間で何を基準にどのような施策を実施すべきかの判断材料がなかったが、今後はブランドイマーシブタイムを一つの基準とすることで、滞在時間が長くなるようなコンテンツや演出の開発など、より効果的な体験設計が可能になるという。
電通では、2023年に開催した「東京ゲームショウVR 2023」のメタバース空間での実行動データとアンケート調査データを、参加ユーザー単位で統合して分析できる環境を構築。メタバース空間で広告を展開するほとんどの企業が商品・ブランドの展示ブースを設置している状況を踏まえ、メタバースブースにおけるユーザー行動のより精緻な調査や分析を実施したという。
その結果、「チャット利用」「アバター装着」「スタンプ使用」など10項目のなかで、「ブース滞在時間の長さ」が商品やブランドの「好意度」「購買意欲」向上に最も寄与する要素であることが分かったとしている。電通グループでは、この滞在時間(秒)に、没入度を左右するデバイスごとの係数(VRで1.0、PCで0.7、スマートフォンで0.4など)を掛け合わせたものをブランドイマーシブタイムと定義。将来的な効果計測指標として、今後さまざまな3D空間メディアでの検証・測定を実施していくという。
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