大和ハウス工業は4月23日、兵庫県三木市において、建物とデジタル技術を組み合わせる拡張空間を利用し、開発から年数が経過した住宅団地でのコミュニティ活性化を図る実証実験を開始したと発表した。
大和ハウス工業によると、居住者の減少や高齢化が進む住宅団地では、公共交通機関の運行廃止や免許返納などで、公民館や役所などの公共施設への移動手段が不便となっており、十分な地域コミュニティの形成には、徒歩圏内でのコミュニティ施設やリモート窓口の設置など、地域住民が集える仕組みが求められているという。
今回、地域コミュニティの活性化を図る実証として、兵庫県三木市の「緑が丘、青山ネオポリス」の住民を対象に、仮想空間や遠隔地とつながる空間拡張システムを用いて、空間共有によるコミュニケーション機会を提供する。実証期間は、4月17日から2025年春まで。
仮想空間とつながる体験では、居合わせた住民同士の交流を活性化させるため、デジタル映像と自然音で仮想空間を再現する「XR技術」を採用し、居心地の良い空間を演出。古都風景や古民家の室内など、4種類のデジタル映像をプロジェクターで映すとともに、リラックス効果のある雨音や囲炉裏で薪をくべる音などを、複数のスピーカーで立体音響として流す。
遠隔地との空間共有では、道の駅やほかの地域のコミュニティ施設とつなげ、遠隔地側の表情や身振り、声などを共有するために、複数のスピーカーやプロジェクター、ビデオ会議システムを使用して、実寸大の映像や環境音などを伝える。なお、4月17日から24日の期間は、「食に関する遠隔地の魅力」をテーマに、コミュニティ施設と「道の駅かなん」をつなる。5月以降は、住民の要望に応じた場所やテーマを設定していく予定だ。
実証実験では、各種センサー技術を導入することで、仮想空間の体験や遠隔地との映像・環境音の共有が、利用者に与える影響を分析。発話モニタリング用のマイクやカメラ、表情分析センサー、温湿度・CO2濃度センサーなどを設置することで、来場者へのアンケート評価と各種センシングデータとの相関関係を検証する。
また、仮想空間の体験や遠隔地との空間共有をするときとしないときの来場者の滞在時間、居場所の選択、世代間交流の発生状況などの傾向を確認するとともに、空間内の様子を捉えたセンシング結果を、データベースとして蓄積・分析することで、将来的に地域コミュニティの活性化に寄与する空間拡張システムの開発を目指すとしている。
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