レノボは3月、12の国や地域からメディア関係者、インフルエンサーなどを集め、タイのバンコクで「Lenovo Innovate ’24」を開催した。
クリエイターなどをメインターゲットに据えた「Yoga」シリーズのほか、ゲーミングPCブランド「Legion」(レギオン)シリーズ、「LOQ」(ロック)シリーズなど、「CES 2024」で披露したラインアップや、同社の今後の戦略を披露。アジア太平洋地域への注力度合いなどを示したかたちだ。
2024年のレノボは、LegionブランドのゲーミングノートPCとして5シリーズを展開する。そのうち、日本では2月に発売した22万4620円の「Lenovo Legion 7i (16”, Gen 9)」と、1月に発売した15万7190円の「Lenovo Legion 5i (16”, Gen 9)」は実機を展示していた。
Legion 5i/7i (16″, Gen 9)はいずれも、放熱処理技術「Coldfront Hyperchamber」を採用。排気口を側面ではなく背面に設置することで、熱風が手にかかることを防ぎつつ、表面温度を2度、ノイズを2dB低減させられるという。
なお、Legion 7i/5iには最上位モデルとして「Lenovo Legion 9i (16″, Gen 9)」も存在する。内循環型の液体冷却機能「Coldfront Liquid」を世界で初めて搭載した2023年発表のモデルで、米国での販売価格は3839.99ドル~。国内での発売は未定となっている。
また、薄型の「Lenovo Legion Slim」シリーズから、日本でも発売予定の「Lenovo Legion Slim 5 (16”, Gen 9)」を展開するほか、ハイレベルなゲーム環境を求めるプレイヤー向けの「Lenovo Legion Pro」シリーズから、日本では2月に発売した33万1430円の「Lenovo Legion Pro 7i (16”, Gen 9)」と、「Lenovo Legion Pro 5i (16”, Gen 9)」を展開する。
レノボ Asia Pacific,PCs and Smart Devices,Consumer Business,Category Manager(Gaming)のClifford Chong氏は、Legionシリーズについて「普段使いしたいという声もあり、ゲーミングPCらしくないデザインを採用している」ことも特徴のひとつと話す。ただし、全てのキーを取り外して自分用にカスタマイズできる設計を採用するなど、遊び心に応じた変更も可能となっている。
エントリー価格帯のLOQシリーズとして、日本では3月に発売、17万1600円でColdfront Hyperchamberを備えた「Lenovo LOQ 15IRX9」、16万1810円の「Lenovo LOQ 15AHP9」と、発売予定の「Lenovo LOQ 15IAX9I」「Lenovo LOQ 15IAX9」を加え、レノボの2024年の新ゲーミングノートPCラインアップとなるようだ。
なお、ゲーミングデスクトップとしては、タワー型の筐体「Lenovo Legion Tower」シリーズの「Lenovo Legion Tower 7i」「Lenovo Legion Tower 5i」、「Lenovo LOQ Tower 17IRR9」を展開する。いずれも日本での販売も予定しているという。
レノボは、全ての人々へテクノロジーを届けるという「Smarter technology for all」を戦略に掲げている。レノボ Asia Pacific,Consumer Business LeadのLeon Yu氏は、「レノボのPCは、3つの柱を中心に展開している。1つ目が、単なるデバイスメーカーではなくAIを提供するソリューションプロバイダーに変革するという『トランスフォーメーション』だ」と話す。
レノボは、CPUとGPUに加えて、AI処理向けのNPU(Neural Processing Unit)を搭載したインテルの「Core Ultra」プロセッサーや、マイクロソフトの「Copilot」などを搭載した「AI PC」を展開。また独自の調査によると、エンドユーザーの66%が3~5年のうちに自分の仕事にAIを活用して業務時間を削減できると考えているという。
「AI PCは2025~2026年にかけて非常に普及していく。2024年に登場したが、年内に3割、2026年には75%を占めるだろう。われわれは現在、GfKのデータで世界ナンバーワンのPCブランドという立ち位置だが、維持し続けることが目標だ。AI PCと買い換え需要をうまくつかみ、成長していきたい。AIは、例えばハードの観点で見た場合、ゲーミングPCではバッテリーの効率を、Yogaシリーズでは処理性能を向上させるなど、それぞれの分野で違う働きをする。競合相手に対して優位な立ち位置を確立できるユニークなソリューションを提供していきたい」(Yu氏)と話す。
キーボードのバックライトが部屋の明かりを認識して自動で変化。AIを活用したユニークなソリューションの一例だ
また、Yu氏は、「戦略の柱の2つ目は『イノベーション』で、3つ目は『シチズンシップ』。全てのPCの製品群に包括的にイノベーションを提供しつつ、あらゆる人々に包括的に提供する。例えば『Yoga Book』では、素材、梱包(こんぽう)にいずれでもリサイクル素材を使用している」とし、より包括的かつ継続的な提供に注力していると説明する。
実際にレノボは3月29~31日の3日間、バンコクのショッピングモール「CentralWorld」で、ポップアップストアを展開。Lenovo Innovate ’24でのメディア向けアピールに続き、タイ国内の一般ユーザー向けにもレノボの新PCをアピールした。
日本市場については「品質や耐久性、バッテリー持続時間などが求められるユニークな市場だが、(レノボ内の)アジア太平洋地域全体で2位となっている。レノボとして特に重視しており、オンライン・オフライン両方で商品を展開していく」(Yu氏)。トレンドとしてはAIのほか、高付加価値のプレミアムセグメント、ゲーミングPCが鍵になると見ているようだ。
日本におけるゲーミングPCという観点では、Chong氏は「日本はゲーム開発企業などが多く、世界的に見てもユニークな市場だ。しかし世界同様、日本市場のゲーミングPCのニーズも増えている。(今回の発表内容以外では)PCゲームコンソールの『Lenovo Legion Go』に注力していきたい。日本だけでなく他の市場でも評価が高く、開発・投資を継続する」という。日本を含めてゲーミングPCへの投資を強化すると意気込む。
また、AIがゲームそのものにおいて何をもたらすかについて、「ゲームでのAI活用が進むと、例えばNPCの返答は単純なものから、生成AIを活用して人間のように会話できるようになるだろう」(Chong氏)と話した。
取材協力:レノボ、レノボ・ジャパン
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