「Ray-Ban Metaスマートグラス」とアップルの「空間ビデオ」で思い出作り

Scott Stein (CNET News) 翻訳校正: 編集部2024年03月30日 07時30分

 先日、米フロリダ州のディズニー・ワールドで4日間を過ごした。その間ずっと、歩数とスマートグラスのバッテリー残量の話をしていた気がする。今回のディズニー旅行では、ほとんどの時間をMetaの「Ray-Ban Metaスマートグラス」をかけて過ごした。この旅で体験したことを、後でありのままに思い出せるようにするためだ。

Appleの「Vision Pro」と「Ray-Ban Metaスマートグラス」
Appleの「Vision Pro」と「Ray-Ban Metaスマートグラス」
提供:Scott Stein/CNET

 筆者はスマートフォンでたくさんの写真や動画を撮る。多過ぎるくらいだ。スマートフォンの使い過ぎには注意しているのだが、今回もしっかり3D動画を撮影してきた。そうすれば帰宅後、Appleの「Vision Pro」(またはMetaの「Quest」)を使って、旅の思い出をその場にいるかのように再生できるからだ。

 筆者は思い出を、主に2つのデバイスで記録している。録画の手軽さを重視したスマートグラスと、再体験の質を重視したヘッドセットだ。

 テクノロジー企業、特にAppleとMetaは、人々に自社のデバイスで思い出を残してもらおうと躍起になっている。例えばAppleは、AIを使って「iPhone」のライブラリーに保存されているユーザーの写真や動画を組み合わせ、「メモリー」と呼ばれるコレクションを自動生成する機能を提供している。「Facebook」にも、過去の投稿を自動で整理し、表示する機能がある。AppleのVision Pro、MetaのQuestやRay-Ban Metaスマートグラスの取り組みを見ていると、「思い出」をめぐる戦いはさらに激しくなりそうだ。

 面白いことに、AppleとMetaはまったく異なるアプローチで、この戦いに挑んでいる。

AppleのVision Pro:没入感の高い空間ビデオが魅力

 Appleは、スマートフォン(あるいは装着したヘッドセット)で大切な瞬間を立体映像として切り取り、「空間ビデオ」として記録すれば、後から没入感のある3D映像で再生し、まるでその場にいるかのように再体験できるという。ただし、現在の空間ビデオにそこまでの没入感はない。Vision Proの「Apple TV+」アプリ向けに徐々に展開されているAppleの新フォーマット「Apple Immersive Video」の映像作品のような、180度の高精細映像ではないし、本格的な空間キャプチャのように、映像に入り込んで探索できるわけでもない。伸びしろは大きいが、まだ初期の段階にあるという印象だ。

 筆者は2023年の秋以降、動画を撮るときはほぼ必ず「iPhone 15 Pro」を使い、空間ビデオ形式で撮影しており、過去を音付きの立体映像で再体験できることの楽しさを実感している。実際、こうした映像には感情をゆさぶる力があるように思う。

 問題があるとすれば、思い出を記録するプロセスが依然として、わずらわしいことだ。Metaは、カメラを搭載したスマートグラスを開発することで、(ある程度は)このわずらわしさを解消することに成功した。

提供:Scott Stein/CNET
提供:Scott Stein/CNET

Metaのスマートグラス:完璧なフォルムと残念なバッテリー

 Vision Proで顔を覆ったまま、家族とのだんらんを撮影したいとは思わないが、Ray-Ban Metaスマートグラスなら、装着したままでも家族との時間を自然に撮影できる(実際、すでに使っている)。Vision Proは複合現実(MR)用のヘッドセットであり、大きなバッテリーと物理的につながっているため、屋外での使用には向かない。一方、Metaのスマートグラスは、機能面ではVision Proに劣るものの、はるかに小さくて軽く、装着時の違和感も少ない。日常生活の中で使うために作られているという印象だ。

 最近は誰もがスマートフォンをカメラとして使っているが、そうしたくない時もある。また、Appleの空間ビデオは基本的にiPhoneをランドスケープモード、つまり横向きにして録画しなければならない。縦のままでは撮影できない。これがディズニー・ワールドのような場所ではネックになる。

 一方、Metaのスマートグラスは音声で作動し、カメラも意外なほどしっかりしている。ただし、iPhoneと比べるとぶれやすく、レンズが広角なので構図に制限がある。しかも、スマートグラス自体では撮影結果をプレビューできない。Metaのスマートグラスにはスピーカー、マイク、カメラしかついておらず、ディスプレイはないからだ。

 逆に言うと、Metaのスマートグラスは大切な時間を自分の目で見ていないのではないかという不安を解消してくれる。スマートフォンで撮影しているときは、世界を直に見ていない。Metaのスマートグラスは、世界を自分の目で眺め、その瞬間を全身で味わうよう促してくれる。

@scottsteinsayshi Tron Lightcycle/Run is so fast… tried recording with camera glasses! #disneyworld #meta #rayban ♬ original sound - scottstein89

 例えば、筆者は子供たちがソリ遊びに出かけたときは、スマートフォンをポケットにしまい、Metaのスマートグラスをかけて同行した。おかげで自分がソリで滑っているときも撮影ができた。ディズニー・ワールドではスマートグラスをかけたまま散策を楽しみ、気になるものがあれば音声で、またはスマートグラスのシャッターボタンを押すことで、すぐに撮影できた。

 動画の場合はさらに便利だ。一度に録画できる時間は1分のみだが、ディズニー・ワールドの「Guardians of the Galaxy: Cosmic Rewind」や「TRON Lightcycle」、「Star Wars: Rise of the Resistance」といったアトラクションに乗った際は、他の乗客の邪魔をしたり、スマートフォンを掲げたりすることなく、ライドの一部始終を録画できた。もちろん、スマートフォンを落とす心配もない。

 もしかしたら、多少は他の乗客の気をそらせてしまったかもしれない。Metaのスマートグラスは、録画中はそのことを周囲に知らせるために小さな白いライトが点灯する。暗闇の演出があるアトラクションでは、この光が他の乗客に見えていたはずだ。

 Metaのスマートグラスには、バッテリーの問題もある。それなりの時間を使っているとバッテリーが切れるため、充電ケースに入れなければならない。筆者が使っているMetaのスマートグラスは度が入っているので、充電中は別の眼鏡を使う必要があるので、スマートグラスとは別に、普通のメガネも持ち歩く必要がある。つまり、充電中はしばらく、あるいは予備のバッテリーも切れてしまった場合はずっと、このカメラ付きの魔法のメガネは使えなくなってしまう。

 録画したビデオをあとで見返すのは楽しい。映像は縦長なので、ソーシャルサイトでは共有しやすいが、大型テレビでは見栄えが悪い。それでも、撮影したビデオは人生の記録であり、一人称視点で撮影したアトラクションの様子やディズニー・ワールドを歩き回った思い出を見返していると、スマートグラスのありがたさが身に染みる。

 ただし、Metaのスマートグラスでは3Dの空間ビデオは撮影できない。

Vision ProとRay-Ban Metaスマートグラスの内側提供:Scott Stein/CNET
提供:Scott Stein/CNET

将来への期待:どちらかではなく、どちらも

 はっきり言えるのは、筆者が欲しいのは「高画質の空間ビデオを撮影でき、あとでVRヘッドセットを使って大画面で没入感のある3D映像を楽しめる、(理想を言えば一日中バッテリーが持つ)カメラ付きのメガネ」だ。Metaはいずれ、この理想を実現してくれるかもしれない。Metaは、Questを空間ビデオに対応させ、iPhone 15 Proのビデオフォーマットとの互換性を持たせた。しかし、Metaは単に利他心や親切心から、クロスプラットフォーム化を進めているわけではない。

 Metaの最高技術責任者(CTO)、Andrew Bosworth氏は2023年のインタビューで、第1世代のスマートグラス「Ray-Ban Stories」は3D録画機能を搭載する予定だったが、最終的には見送られたと語った。第2世代では、カメラとオーディオの品質が大幅に向上したものの、デュアルカメラのハードウェアデザインは採用されなかった。

 現在、空間ビデオが注目を集めていることを考えると、この機能は検討の価値があるように思われる。スマートグラスで手早く撮影した瞬間を、あとで没入感のある映像として再生できればうれしい。いずれはそうなるだろうが、まだ実現していない。今はスマートフォンを掲げて撮影しなければ、あとで楽しめる没入感のある映像は録画できないし、逆に今この瞬間を全身で楽しむには、スマートグラスをかけなければならない。

 この2つが合体すれば、思い出を再体験する最高の方法が手に入るだろう。

 では、Appleがこの路線を選ぶ可能性はあるのだろうか。技術的には、カメラ、スピーカー、マイクを備えたメガネを開発することは可能だろう。「AirPods」を発展させたスマートグラスにiPhoneカメラを搭載するイメージだ。こうしたスマートグラスは、Vision Proとは別のアプローチによるARの未来を指し示している。高機能だがかさばるVRヘッドセットと、必要最小限の機能しかないがスリムなスマートグラスは徐々に歩みより、いずれ両者の特長を兼ね備えた製品が登場するだろう。Metaは今後5年ほどかけて、こうした製品の開発に取り組むはずで、Appleも同じような計画を温めているかもしれない。

 理想の新製品が登場するまで、筆者は複数のプラットフォームとハードウェアの間を行ったり来たりすることになるだろう。思い出は今後も2種類の動画フォーマットでライブラリーに記録される。両者の間をスワイプで行き来していると、こうした手間が不要になる未来を想像せずにはいられない。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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