[ブックレビュー]突然の「転職します」に備える--なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか

フライヤー編集部2024年04月06日 08時00分
日本経済新聞出版社
内容:自分が成果を出すより、メンバーの能力を引き出し、成果を出させるほうがずっと難しい。それも相手が「最近の若者」であればなおさらだ。いくらこちらが心を砕いても、突然「転職します」と言ってくるのだから――。そんなふうに感じている人に、本書を勧めたい。

 自分が成果を出すより、メンバーの能力を引き出し、成果を出させるほうがずっと難しい。それも相手が「最近の若者」であればなおさらだ。いくらこちらが心を砕いても、突然「転職します」と言ってくるのだから――。そんなふうに感じている人に、本書を勧めたい。

 著者の古屋星斗氏は、次世代社会のキャリア形成の研究者だ。前著「ゆるい職場」では、職場を「ゆるい」と感じている新入社員の離職傾向が強いことや現代の若者の転職が「不満型転職」から「不安型転職」にシフトしていることを指摘し、読者を驚かせた。本書ではさらに一歩踏み込み、若手が活躍できる職場に必要な「キャリア安全性」の考え方や、「育て方改革」を進める際のポイント、「優秀な人材ほど辞める」への対応策などを提示している。

 要約者にとって特に印象的だったのは、本人の合理性を超えた機会を提供せよというアドバイスだ。本人の希望に沿ったキャリアパスを用意するだけでは、その人が想像する以上の機会や経験は得られない。上司側が若手に対して「上司に指示されたから」「会社の研修項目に入っているから」といった「言い訳」を与え、あえて本人の希望から少し外れた機会を提供することで、Z世代の若手が重視する「成長実感」が得られて、優秀な人材の離職を防げる可能性があるという。

 本書を読めば、人材育成や若手とのコミュニケーションにおけるモヤモヤが晴れるだろう。若手の育成に悩むリーダー層、人事担当者にぜひ手に取ってほしい。

今回ご紹介した「なぜ『若手を育てる』のは今、こんなに難しいのか」の要約記事はこちら。この記事は、ビジネスパーソンのスキルや知識アップに役立つ“今読むべき本”を厳選し、要約してアプリやネットで伝える「flier(フライヤー)」からの転載になります。

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