「ChatGPT」を筆頭に注目を集める「生成AI」だが、ビジネス領域ではどの程度浸透しているのか――2月29日、ドキュサイン・ジャパンがビジネスパーソン1260人を対象にした「生成AIに関する意識・実態調査(2024年1月)」として発表している。
生成AIの認知度を聞いたところ、51.8%が「知っている」、36.8%が「聞いたことがある」と回答し、合計で約9割が「生成AI」という言葉に触れていたという。生成AIは専門的な技術用語だが、ニュースや新聞、SNSなど、多数のメディアで取り上げられて人々の関心を引きつけ、多くの人がある程度の認知を持つことになったと分析している。
知っている具体的な生成AIサービスの名称も聞いている。「ChatGPT」が73.8%と圧倒的に高く、Microsoftの「Bing」が37.3%と続く。そのほかGoogleの「Bard」(現在は『Gemini』)、「AIチャットくん」なども25%強を集めたが、ChatGPTに比べると認知度は低く、ChatGPTが生成AIの代名詞のようになっているとしている。
また、「GitHub Copilot」(ギットハブ・コパイロット)や、「Stable Diffusion」(ステイブル・ディフュージョン)、「DALL・E」(ダリ)などが10%未満となっている理由として、特定の専門分野や趣味の分野で使われることが多いためと推察している。
生成AIのイメージで最も多かった回答は、「業務効率・生産性を高める」で、「暮らしを豊かにする」「新しい仕事が創出される」も3割を超えた。生成AIが業務において有益なツールとして認識されるとともに、多くの人々が生成AIのポジティブな影響に期待を寄せている現状を明らかにしている。
一方で、約2割が「人間の仕事を奪う」「何となく怖い」と回答。生成AIは一部の人々にとって懸念や不安の対象になっており、AIの急速な進歩がもたらす社会的変化、または経済的変化への不確実性や恐れを示していると考察している。
日常業務の中で生成AIツール・アプリケーションを活用しているかについては、31.9%が「業務で利用している」と回答。生成AIが多くの業務で有用なツールとして確立しつつあるとともに、25.6%は「試験的に利用している」と回答しており、新しい技術への関心や実地試験が積極的に広がっているとしている。
また、「利用を検討している」は18.4%で、将来的にAIの利用がさらに拡大する余地があるとしつつも、24.1%が「利用していない」と答えており、生成AIに対する懐疑的な見方や、必要性がない、あるいは業務利用に障壁があるといった可能性も指摘している。
一方、生成AIが自社データを学習することによる情報資産の流出を懸念するといった企業の声もあり、今後は入力データを学習しない生成AIサービスが増え、心理的ハードルが下がるとしている。
生成AIツール・アプリケーションを活用する分野としては、「原稿、メール、キャッチコピーなどの文章作成」「記事シナリオの作成」「ドキュメントの要約」など、文章に関連する業務が多かったという。
同様に、今後活用したい分野としても文章関連が多く、生成AIとの親和性が高い定型的なテキスト業務で利用することで効率を高められるとしている。
一方、プログラミング関連では、「プログラムコードの作成」「プログラムコードのチェック」「データ抽出」といった技術的な業務で生成AIが利用される反面、テキスト関連の業務に比べるとその比率は低かったという。プログラミングは高度な専門知識を要するため、AIツールの出力精度に対する要求が高いことを反映した可能性があるとしている。
また、画像、動画、音楽関連業務などのクリエイティブ領域への生成AIの利用はさらに限定的で、生成AIの創造的な業務はまだ不完全な分野であり、人間のクリエイティブな作業に匹敵するためにはさらなる技術の進化が必要としている。
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