テクノロジーを活用して、ビジネスを加速させているプロジェクトや企業の新規事業にフォーカスを当て、ビジネスに役立つ情報をお届けする音声情報番組「BTW(Business Transformation Wave)RADIO」。スペックホルダー 代表取締役社長である大野泰敬氏をパーソナリティに迎え、CNET Japan編集部の加納恵とともに、最新ビジネステクノロジーで課題解決に取り組む企業、人、サービスを紹介する。
ここでは、音声番組でお話いただいた一部を記事としてお届けする。今回ゲストとしてご登場いただいたのは、アンカー・ジャパン 執行役員/事業戦略本部長の芝原航氏。オーディオ機器やプロジェクター、ロボット掃除機に至るまでの幅広い製品ラインアップとスピーディーな製品開発ができる秘密について聞いた。
加納:芝原さんのお仕事内容について教えて下さい。
芝原氏:アンカー・ジャパンの事業戦略本部で、充電関連製品器やオーディオ関連製品など、コアとなる事業の全体的な責任者、加えて、ECや家電量販店など流通の管理運営の責任も担っています。
大野氏:アンカー・ジャパンという名前は、多くの人が聞いたことがあると思うのですが、現状の製品ラインアップを改めて見ると、製品数が非常に多いですね。
芝原氏:「Anker」と言うと、モバイルバッテリーやケーブルといった充電関連の製品をイメージされる方が多いと思いますが、最近では、イヤホンやヘッドホンといったオーディオ関連機器、ロボット掃除機からプロジェクターなど幅広く製品を販売しております。
大野氏:どの製品も手に取りやすい価格かつ高性能という印象ですよね。ブランドもオーディオ関連の「Soundcore」(サウンドコア)、ロボット掃除機等スマートホーム関連の「Eufy」(ユーフィ)、プロジェクタの「NNebula」(ネビュラ)など、さまざま展開されていますが、カテゴリーを増やされたのはいつぐらいから。
芝原氏:2013~2014年頃から徐々にカテゴリーを増やし、2018年くらいからマルチブランド戦略を進めてきました。お客様から寄せられる多くの声を参考に製品カテゴリーを拡大し、製品数自体も増加させてきたという感じです。
大野氏:私も最近Ankerの会議用ヘッドセットを購入しましたが、マイクの指向性、ノイズキャンセリング性能、ヘッドホンとしての音質など、非常に性能が高いなと感じました。製品のバージョンアップスピードもかなり速いという印象です。
芝原氏:製品のライフサイクルの観点から見るとかなり速いと思います。2023年に販売開始した最新のモデルでも、市場では売れていても、なんらかの改善点は常にあるものです。それを「今売れているからいい」ではなく、お客様の声を聞きつつ、「こういう改善ができたらもっといい」という部分を模索して、改善した製品を出していくというのを常にやっています。
加納:お客様の声はどういうふうに集められているのでしょう。
芝原氏:アンカー・ジャパンではAmazonを中心としてECでの製品販売をしているので、カスタマーレビューは常に見ています。そのご意見を分析し、製品の改善に生かしています。それ以外では、カスタマーサポートを内製化しているので、そこでいただくご指摘やご意見も生かしています。
大野氏:ちなみに今の売れ筋はどのあたりなんですか。
芝原氏:モバイルバッテリーやケーブルなど、充電関連製品が売れ筋ではありますが、ここ数年は 完全ワイヤレスイヤホンが非常にご好評をいただいています。私自身も職業病ではないですが、通勤時などはどうしても人の耳を見てしまう(笑)。その中でも少しずつSoundcoreを使っていただいている人が増えているかなと。
大野氏:Amazonで購入する人が多いと思いますが、リアル店舗など販路も広げていらっしゃいますよね。
芝原氏:Amazonでのオンライン販売からスタートしましたが、製品カテゴリーが広がる中で、販路もしっかり拡大しようと、直営店や量販店などお客様とのリアルな場での接点を増やしています。
充電関連は、製品の性質や価格帯からもECで買いやすい製品ですよね。一方、完全ワイヤレスイヤホンやプロジェクターは価格帯もそうですが、音質や画質など実際に体験してから買いたいと思う製品だと思っています。ラインアップを増やす中で、実際に試していただける場として、直営店や量販店など店舗を拡大しました。
大野氏:製品開発スピードもかなり速いですが、グローバルで従業員の方は何人くらいいらっしゃるのですか。
芝原氏:グローバルですと4000人くらいです。プロダクトごとにチームを作っていて、開発は中国の本社が担っています。日本法人であるアンカー・ジャパンでは、約150名の社員が働いて、セールス・マーケティングから管理部門、やカスタマーサポートを担当しています
大野氏:開発は中国本社なのですね。御社の製品はスマートフォンと連携して使うことも多いと思いますが、非常に安定して使える。少し前の別メーカーの製品だと、Bluetooth接続が不安定なことも結構あったと思うのですが、それが安定して使えるようになったのは、御社の存在が大きかったのではという気が個人的にしています。
芝原氏:そう言っていただけると非常に光栄です。スマートフォンやタブレットは新製品が続々と登場してくる中で、新製品にもきちんと対応していくのは利便性に直結するのでそのあたりはしっかりと取り組んでいます。
大野氏:日本国内でも成長を遂げているアンカー・ジャパンですが、いい製品を作っているというのはもちろん、販売戦略も成長に大きく寄与していると思います。
芝原氏:アンカー・ジャパンの設立は2013年で、当初は数名の社員でスタートしています。限られたリソースの中でお客様にしっかりリーチするには、何が一番合理的かと考えた時に、当時はやはり、Amazonでの販売というのがもっとも適していました。プラットフォームにすでにお客様はいらっしゃるので、買いやすいサイト構造、さらにカスタマーレビューも見やすいところが私たちにとって必要な要素でした。
加納:一方で直営店の役割というのは。
芝原氏:直営店「Anker Store」は、プロジェクターなど高単価の製品を販売していく中で、私たちがお客様に伝えたいことを伝えられる売り場設計を実現する場になっています。お客様に体験してもらう場所を増やしたいという思いもありました。くわえて、Anker Storeそのものがお客様の声をダイレクトにいただけるチャネルとしての役割も果たしています。
下記の内容を中心に、音声情報番組「BTW(Business Transformation Wave)RADIO」で、以下のお話の続きを配信しています。ぜひ音声にてお聞きください。
大野泰敬氏
スペックホルダー 代表取締役社長
朝日インタラクティブ 戦略アドバイザー
事業家兼投資家。ソフトバンクで新規事業などを担当した後、CCCで新規事業に従事。2008年にソフトバンクに復帰し、当時日本初上陸のiPhoneのマーケティングを担当。独立後は、企業の事業戦略、戦術策定、M&A、資金調達などを手がけ、大手企業14社をサポート。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会ITアドバイザー、農林水産省農林水産研究所客員研究員のほか、省庁、自治体などの外部コンサルタントとしても活躍する。著書は「ひとり会社で6億稼ぐ仕事術」「予算獲得率100%の企画のプロが教える必ず通る資料作成」など。
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