ソフトバンクは2月26日、通信やAI(人工知能)のリーディングカンパニーや大学とともに、「AI-RANアライアンス」を設立したと発表した。
加盟企業・大学で連携し、世界中に存在する膨大なRAN(Radio Access Network)インフラを、AIとRANを融合させたAI基盤として再定義する。AI-RANの研究、実証実験を進めて新規技術の普及、イノベーションを推進し、AIを活用した新たな通信プラットフォームの創出を目指すという。
AI-RANアライアンスは、ソフトバンクのほかボードメンバーとして、Arm、Amazon Web Services(AWS)、DeepSig、Telefonaktiebolaget LM Ericsson(Ericsson)、Microsoft、Nokia、Northeastern University、NVIDIA、Samsung、T-Mobileが名を連ねる。
モバイルネットワークの効率性のグローバル規模での向上、ネットワークによる消費電力の削減や、既存インフラを改善し、5Gおよび6GにAIを活用した新たなビジネス機会の創出がミッションになるという。
ソフトバンク 先端技術研究所 執行役員所長を務める湧川隆次氏は、「スマホが社会インフラとなるなか、われわれ(ソフトバンク)は毎年基地局に対する設備投資を実施しているが、ARPUが落ちる反面、5Gという高い周波数に伴い設備投資は増えている。一方、この12カ月でAIに対する社会の関心が大きく変わった。市場規模では通信よりもAIの方が大きく、AIを通信にどう取り込み、活用していくかが非常に重要な課題となっている。業界の課題として取り組みつつ、AIを軸とした無線機、運用、アプリケーションなどを、1社では実現できないエコシステムで取り組んでいく」と、背景と目的を説明する。
具体的には、(1)「AI and RAN」、(2)「AI on RAN」、(3)「AI for RAN」――の3つを主要テーマとし、研究開発に取り組む。
AI and RANでは、AIとRANの処理を統合してインフラの利用効率を上げ、AIを活用した新たな収益機会の創出を目指すという。
湧川氏は「従来はハードウェアでの使用がベースとなっていた無線機が、サーバー上で動くソフトウェアに変わりつつある。日本の場合はスマホの利用などは21時頃がピーク。一方、朝方の2時といった真夜中は多くの人がスマホなどを使わず、無線機設備もほとんど動いてない状況だ。無線機を使っていない時間に、例えばAIの推論といった別のソフトウェアを動かせれば、設備の利用効率が非常に上がる」と話す。
AI on RANでは、RANを通じてネットワークエッジ側にAIを展開する。RANの運用効率を上げ、モバイルユーザー向けの新規サービスを展開するという。
「スマホのアプリはクラウドサーバー側で動いている。各スマホと基地局間の性能をいくら上げても、5Gの強みは出ない」(湧川氏)とし、現在は5Gを生かせる環境がないと語る。実際の構想としては、低遅延、大容量通信が可能なデータセンターでのAIによる推論サービスなどを説明した。
AI for RANでは、AIを活用し、既存の無線機の周波数効率、性能の向上を目指す。湧川氏は、「周波数の利用効率を上げて、同じ基地局数でより多くのトラフィックを運ぶなど、性能を向上させる。われわれの設備投資も変わってくる」と語った。
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