家庭用ゲーム機(コンソール)は永遠に続くものではないが、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の「PlayStation 5」(PS5)は平均的なゲーム機ではない。2020年の発売当初は需要があまりに多かったため、熱心なファンの誰もが購入できるようになるまで3年もかかった。
しかし、どのゲーム機にもライフサイクルはある。ソニーグループは2月14日、発売から4年たったPS5が販売目標を下回ったことを発表し、2024年度はさらに苦戦する可能性が高いとの見通しを示した。年末商戦の販売台数が予想を下回ったとして、2023年度の年間見通しを2500万台から2100万台に引き下げた。また、2024年度の販売台数について、この期間に自社開発した大型タイトルの新作リリースを予定していないこともあり、緩やかに減少するとの見方を示した。
誰であれゲーム業界の幹部がPlayStationやMicrosoftの「Xbox Series X」、任天堂の「Nintendo Switch」といったゲーム機の将来について話すたび、消費者はその発言に注目する。こういったゲーム機は数百ドルするし、ゲームソフトは70ドル(約1万円)前後する。購入する価値があると感じてもらうため、Microsoft、任天堂、ソニーは約7年ごとにゲーム機をメジャーアップグレードすることを目指している。
ソニーの発表では、PS5が「コンソールサイクルの後半」に入るとは具体的にどういうことか、「収益性とのバランスをより重視した販売の最適化を進めていく」と述べただけで、詳しく説明しなかった。米CNETは同社にコメントを求めたが、本記事執筆時点で回答は得られていない。
幸い、ソニーはおおむね旧型のゲーム機を長期にわたってサポートしている。例えばPS5は、ディスク版とダウンロード版のどちらを購入しても「ほとんど」の「PlayStation 4」ゲームをプレイできる。予想される次期「PlayStation 6」が同じ機能を提供するかどうかはまだ分からないが、ソニーはこの機能を維持したいと考えるだろう。
この点についてソニーがなぜあまり詳しく説明しないことにしたのかも不明だ。ゲーマーは自分のゲーム機に関することならどんなに小さな情報でも欲しがっていることを、同社は十分に認識しているはずだからだ。
PS5の購入を考えているなら、今が絶好の買い時かもしれず、少なくとも検討はしておきたい。
そう言えるのは、PS5をまだ持っていない人が、発売時期がいつであろうとPS6を購入することはおそらくないからだ。現時点で待つ理由があるとすれば、必ず来る年末商戦まで粘るというものだろうか。あるいは、アップグレードした人から中古のPS5を購入したいというのもあるかもしれない。
それに、PS5を買えば、「Spider-Man」「The Last of Us」「アンチャーテッド」「ゴッド・オブ・ウォー」「Horizon」といった独占シリーズをはじめとする評判の高いタイトルが豊富にそろっている。
PS5がライフサイクルの後半に入ろうとしているならば、それはPS6の登場が近いことを示唆しているように思える。この点は非常に懸念され、インターネットのファクトチェックサイト「Snopes」までもが議論に加わった。PS6の登場は近いのかという問いに対するSnopesの精いっぱいの回答が「おそらく違う」だったのは、皮肉なことだと思える。
Snopesが指摘するように、Microsoftと任天堂の両社がこの2024年に新しいゲーム製品を発表するといううわさがある。このうわさが本当なら、ソニーも対抗して何か発表する必要があると考えるかもしれない。
Microsoftは2023年、大量の法的文書に紛れるかたちで、次世代版Xboxの計画を誤って流出させてしまった。その中には、「Brooklin」という開発コード名のディスクレスXboxに関するものが含まれていた。この円筒型の次世代機は、ストレージが増強され、消費電力も抑えられていることが示唆されている。
一方、任天堂は携帯型コンソール「Nintendo Switch」を7年前に発売して以来、同コンソールを1億3000万台以上販売し、対応ソフトの販売も10億本を超え、波に乗っている(「あつまれどうぶつの森」は、2020年に新型コロナウイルス感染症のパンデミックが発生した際に、多くの人たちの精神を安定させた実績がある)。そして今は、Switchを強化したSwitch 2に関する数々のうわさが出回っている。
またソニーは、社内の開発スタジオが制作している大作ゲームで2024年に公開する予定のものはないと述べた。とはいえ、公開が予定されているPS5向けの大作ゲームはまだまだある。最大のものは「FINAL FANTASY VII REBIRTH」だ。これはビデオゲーム業界で最も愛されているタイトルの1つを壮大なスケールでリメイクした第2弾にあたるものだ。
さらにソニーは「The Last of Us Part II」のリマスタリング版も公開する計画だ。これは、Pedro Pascal氏(「マンダロリアン」で有名な俳優だ)とBella Ramsey氏(「ゲーム・オブ・スローンズ」での際立った演技が印象的だ)が主演するHBOのヒットドラマである「The Last of Us」の第2シーズン公開に先駆けてリリースされる予定だ。
とはいえ、ソニーの公開ペースは同社の「Marvel's Spider-Man 2」や、任天堂の「ゼルダの伝説ティアーズオブザキングダム」、Microsoftの「Starfield」といったヒットタイトルが目白押しとなった、ゲーム史上まれに見る年とされる2023年よりも鈍化している。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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