コロナ禍を経て、ライフスタイルや働き方も変わってきた昨今。海外でリモートワークをするという海外ワーケーションの選択肢はこれから増えていくかもしれない。
リゾート地であるインドネシアのバリ島は、コロナ以前から欧米諸国からデジタルノマドが集まり「ノマドの聖地」とも言われてきた。海外への門戸が再び大きく開かれた今、観光地である南国のバリ島は多くの外国人で賑わっているという。
そこで今回は、世界のデジタルノマドが集まるというバリ島に行き、ワーケーションをしながら現地の様子を視察してきた。
バリ島にあるデンパサール国際空港(ングラ・ライ国際空港)は、ガルーダ・インドネシア航空が成田空港からの直行便を運航している。
今回、最近筆者がよく利用している世界最大級のオンライン旅行会社の1つ、「Trip.com」のアプリを使って、乗り継ぎありだが、ベトナムのLCC・ベトジェットエアの航空券を予約した。
日本の冬はバリ島のオフシーズン。雨季に当たるので天気が優れない日や雨の日もあるが、寒さが苦手であれば、冬の日本から南国のリゾート地へ渡り鳥のように避寒できるメリットは大きい。
宿泊場所は、オンライン宿泊サイトである「Agoda」や「Airbnb」を使って予約した。公共交通機関が発達していないバリでは、空港からホテルまでの送迎が必要になってくるが、宿泊施設を予約するとAgodaのアプリ上で空港送迎の手配もできる。
ビザに関しては、インドネシアへの観光・商用目的での入国の場合、30日滞在可能な到着ビザ(VOA)を取得する必要がある。
VOAは到着した空港でも取得できるが、事前にオンラインで取得できるので(E-VOA)、こちらも事前に出発前に取得した。
デンパサールの空港到着後、スムーズに入国審査を終えた後、税関申告書も電子化されているので、スマホで申請書を入力し、QRコードを見せて到着ゲートを出た。以前はどこの国でも当たり前であった紙の入国カードや税関申告書を書くことがなかったのには驚きである。
空港を出たところにある送迎のミーティングポイントで予約しておいた送迎スタッフを見つけて、チャング―エリアにあるホテルまで車で連れて行ってもらった。デジタル化とオンライン予約サービスの普及により、バリへの海外ワーケーションの手配は、自分で、かつすべてスマホ1つでできてしまう。便利な時代になったものだ。
公共交通機関の発達していないバリでの移動手段は、バイクが便利だ。
空港からは送迎の車を手配したが、渋滞に巻き込まれ、宿泊場所まで45分のはずが1時間半以上かかった。バリはバイクの数が圧倒的に多い。渋滞の中、バイクだとスイスイ渋滞を抜けることができる。宿や現地旅行会社でレンタルバイクが簡単に借りられるので、運転に自信があればスクーターを借りてみてもいいかもしれない。
海外で運転はちょっと…という人は、現地の配車アプリの利用がおすすめだ。
筆者が利用したのは、東南アジアでよく使われている「Grab」(グラブ)と、インドネシアの会社が開発した「Gojek」(ゴジェック)の2つ。
車の配車ももちろん可能だが、1人であればバイクタクシーが安くて早い。
アプリで目的地を入力して、金額を確認してドライバーが見つかったら、バイクで迎えに来たドライバーの後ろに乗って連れて行ってもらう。料金はクレジットカードを登録するとキャッシュレスでアプリからドライバーに支払われるようになっている。
GrabもGojekも同じようなアプリだが、同じ行程でも料金が違うことがあるので、比較して安い方を使う、ということもできる。路上で流しのバイクタクシーもいるが、ぼったくりを避けられ、価格交渉も不要。値段が決まっているアプリで手配した方が安心で便利だ。
配車アプリのGrabやGojekでは、日本の「UberEats」のようにフードデリバリーも頼める。
せっかくバリに来ているのだからレストランにいくのも楽しみではあるが、疲れて外に出る気力がない時、宿でゆっくりしたいという場合に便利だ。
インドネシア料理やローカル向けのレストランの場合、インドネシア語で出てくるので少しハードルが高い。そういう時には、少し手間だが「Googleレンズ」の翻訳機能が使える。
レストランから料理を選んで注文すると、配達までの時間を教えてくれて、配達のドライバーがいつ来るのかもわかるようになっている。ホテルのようなルームサービスがなくても、こうしてアプリ1つで外に出ずに、食事を注文して運んでもらえる。しかし、下手をするとせっかく海外に来たのに引きこもりになってしまう危険性があるのでほどほどに。
今回ワーケーションで滞在したエリアは近年めまぐるしく進化を遂げている大注目のチャングー。
バリ島で1番の繁華街があるエリア・クタの北にあり、ビーチ周辺に欧米人向けのレストランやショップが立ち並ぶ。海外ノマドが多く滞在するチャングーには、PC作業ができるカフェやコワーキングスペース、コリビング(宿泊施設とコワーキング施設が併設)がいくつも存在する。
今回、海外ノマドたちの様子が気になっていたので、チャングーにある「Tropical Nomad Coworking Space」に行き、実際に使ってみた。ここはイベントスタッフやコミュニティマネージャーがいて、コミュニティーを大事にしているコワーキングスペースだ。
ワーキング利用でメンバー登録すると、イベントのお誘いやコミュニティー内での情報交換ができる。パートナー事業者を利用すると、割引も受けられるようになっている。
おしゃれで新しく開放感漂う施設内には、暑さに弱い人にはエアコンのあるスペース、集中したい人にはおしゃべり禁止のスペースもあり、自分にあった場所で仕事ができる。
利用者は、IT系のフリーランサーやリモートワークの欧米人が多く、1カ月以上の長期で利用しているメンバーやリピーターも多いそう。
コワーキングの利用には1日利用から1カ月使い放題のプランなどのさまざまなプランがあり、イベントも定期的に開かれている。何度か通い、イベントに参加したり、スタッフと仲良くなったりすると、どんどん居心地がよくなっていくだろう。メンバーランチやソーシャルフライデーなど、人と人をつなぐイベントも毎週あり、社交的なイベントに参加することで他のメンバーとつながることもできる。新たなビジネスチャンスなども期待できるかもしれない。
コワーキングやコリビングなどを利用してデジタルノマドのコミュニティーに入るほか、現地の旅行会社やAirbnbの宿泊施設のホストとの連絡など、現地での連絡手段が必要になってくる場合がある。
その際、バリでよく使われていたのは、世界中で使われているメッセージアプリ「WhatsApp」だ。使い方はほとんど「LINE」と同じで、チャットや音声通話ができる。
なお、WhatsAppの利用登録には電話番号が必要となり、SMSや携帯電話でコードを受け取らなければならない。また、先に紹介した配車アプリ、GrabやGojekのセットアップにも、SMS認証に電話番号が必要になる。
いずれも、あらかじめ日本で登録するか、電話番号が付いてくる現地SIMを使えば問題ない。とはいえ、海外においてこうしたアプリの恩恵は非常に大きいので、やや注意が必要だろう。
人口の8割以上がイスラム教徒のインドネシア。
しかし、バリ島はバリヒンドゥー教という独自の宗教が盛んで、信仰心と伝統文化が見て取れる。
チャングーなどのビーチエリアではサンセットを楽しめる。サーフィンやシュノーケリングなどのマリンアクティビティも盛んだ。
ヨガなどウェルネスを意識するワーケーションには、自然に囲まれた内陸エリアのウブドも人気があり、そちらにも滞在した。
見どころ満載のバリ島で、オフの時間に効率よく周るのであれば、現地旅行会社のツアーに申し込むか、現地のドライバーやガイドを雇って連れて行ってもらうといいだろう。
世界中からデジタルノマドが集まる南国のリゾート地・バリ。フルリモートで日本にすぐに帰る必要がないのであれば1カ月ほどエリアを変えて、世界のノマドたちとつながり、バリのワーケーションを楽しんでみてはいかがだろうか。
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