建設業界の2024年問題、最大の課題は「人材不足」--野原グループ調べ

 野原グループは2月9日、同社がBuildApp News(ビルドアップニュース)を通して実施した「建設業界従事者1000人への独自調査」の結果を発表した。それによると、建築業界の最大の課題は「人材不足」の63%で、前回の調査より6ポイント上昇したという。

建設業界で最も深刻な課題(前年度比較)
建設業界で最も深刻な課題(前年度比較)

 調査は1月15日から22日までの期間、全国の建設業界従事者を対象に、インターネット調査で行い、1000人の回答数を得た。

 まず、「建設業界の最も深刻な課題」については、前回の調査同様「人材不足」が1位となったが、前回の56.5%から6ポイント上昇した63.0%という結果。2位も前回と同様の「高齢化による技術継承」で、前回の43.6%から45.3%と微増した。

 野原グループは、建設業界では年々、人材不足と技術承継の課題が改善されないまま課題が深刻化していると推察。「人材不足」については、中小企業(60.6%)よりも、大手企業(68.9%)の方が、より課題としての深刻さが増している結果にも注目している。

事業規模別にみた「人手不足」の深刻さ
事業規模別にみた「人手不足」の深刻さ

 施工管理、施工、専門工事など、建設現場での施工関連業務の従事者に着目すると、「労働時間が長い・年間休日が少ない」の31.0%が3位に浮上。野原グループでは、日本建設業連合会が「4週8閉所」の実現に向けた活動を長年実施しているが、現場では工期順守が求められる一方で、生産性向上が進まず、労働環境の改善につながっていないと考察している。

 次に、「業界課題の解決に期待するデジタル技術」については、1位が「施工ロボット」の36.2%、2位が「図面管理システム」の24.9%、3位が「VR・AR・MR」の17.9%という結果。「施工ロボット」は、導入が進んでいると思うデジタル技術でも1位となっており、野原グループでは、建設RXコンソーシアムを中心に、ゼネコン各社の連携による開発と実装の効果の現れともみられると分析している。

業界課題を解決すると期待するデジタル技術
業界課題を解決すると期待するデジタル技術

 なお、「BIM/CIM」は、建設業界の生産性向上に寄与するものとして国がその活用を進めているが、業界内では「業界課題を解決すると期待するもの」「導入が進んでいると思うもの」のいずれでも圏外であったという。

 「BIM活用の実態」については、62.4%が「活用しない、できない」と回答。中小企業においては「活用しない、できない」が71.9%となり、業務別では、設計・積算業務従事者に比べ、建設現場での施工関連業務の従事者(施工管理、施工、専門工事)で「活用しない、できない」との回答が多数となった。

BIMの活用状況
BIMの活用状況

 「BIMを活用しない、できない」理由について複数回答を求めたところ、「ソフトが高額で購入や維持ができない」と「業務の関係者や発注者から建築BIMの活用を求められていない」が同率1位で、3位が「BIMソフトを使える人がいない・不足している」という結果。事業規模別にみても大差のない結果となった。

「BIMを活用しない、できない」理由
「BIMを活用しない、できない」理由

 野原グループでは、建設産業内でのBIM活用の推進には、導入費用、必要性、人材育成といった複数要素が影響していると推測。建設業界従事者の多くが、BIMソフトなしに簡単にBIMのメリットを感じ、生産性を向上できる基盤環境として「BuildApp事業」を強化し、現状の打開を目指すとしている。

 BuildAppは、設計事務所やゼネコンが作成したBIM設計データをより詳細なデータに置き換え、各建設工程で必要なデータとして利活用し、建設工程全体の生産性向上を実現するクラウドサービス。設計積算から製造・流通・施工管理・維持管理までをBIMでつなぐ複数のサービスにより、各プレイヤーに合わせたサービスを提供する。

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