「TikTok」は今や音楽を発掘するためのプラットフォームとなり、同アプリで流行した楽曲がチャートの上位に入るようになっている。MRC Dataの調査によると、TikTokユーザーの75%はTikTokを通して新しいアーティストを発見しており、63%は過去に聴いたことのない音楽をTikTokで初めて耳にしているという。しかし、そうした状況はまもなく変わるかもしれない。
2月に入ってから、既存のTikTok動画で一部の楽曲が無音になっている。TikTok動画を撮影しようとしても、一部の人気の楽曲は利用できない。
Universal Music Group(UMG)は米国時間1月30日、声明を発表し、UMGと契約したアーティストやソングライターへの公正な対価の支払いに関して、TikTokと合意に至らなかったため、同社との契約を終了すると説明した。これにより、TikTokではUMGの楽曲を利用できなくなっている。
Our core mission is simple: to help our artists & songwriters attain their greatest creative and commercial potential, which is why we must call time out on TikTok.
— Universal Music Group (@UMG) January 31, 2024
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UMGとTikTokの契約は1月31日に終了した。声明によれば、契約終了に先立って、契約更新の話し合いが行われ、UMGはアーティストとソングライターに公正な対価を支払うこと、アーティストを人工知能(AI)の悪影響から保護すること、そして、TikTokユーザーのオンラインでの安全を確保することの3点を主張したという。
両社が合意に至ることはなかった。TikTokが提案した金額は、「同様の立場にいる主要なソーシャルプラットフォームが支払う対価よりもはるかに低かった」とUMGは声明で述べた。また、AIが生成した音楽に関して、アプリ上で適切な対策を講じることも提案されなかったという。
さらに、TikTokは「ユーザーを引きつけるUMGの世界的スターをプラットフォーム上に残す一方で、UMGの発展途上の一部アーティストの楽曲を選択的に削除する」ことで、UMGを脅迫し、契約を受け入れさせようとしたと、UMGは述べている。
これを受けて、TikTokも声明を発表し、合意に至らなかったのは、「アーティストやソングライターの利益よりも自分たちの強欲を優先」したUMGに責任があると述べた。さらに、TikTokはUMGの主張について、「虚偽の物語とレトリック」と非難した。
TikTokは米ZDNETに対し、UMGの音楽がアプリから削除されたことを認めた。これにより、UMGアーティストの楽曲を使用した既存の動画はミュートされ、それらの楽曲を使用した新しいコンテンツは作成できなくなった。
UMGは、Taylor Swift、Bad Bunny、SZA、The Weeknd、Drake、Billie Eilish、Kendrick Lamar、Harry Styles、Ariana Grande、Justin Bieber、Adeleなどの人気アーティストと契約している。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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