パラマウントベッド、新領域でスリープテックを活用--地域スタートアップ陽と人と共同で

 パラマウントベッドと福島県に拠点を置くスタートアップ、陽と人(ひとびと)は2月1日、「更年期×睡眠」の協業研究結果を公開した。パラマウントベッドが持つ睡眠に対する知見と陽と人が持つユーザーの声を合わせ、睡眠の不調を改善する提案などを行ったという。

「更年期×睡眠」の協業研究結果を公開 「更年期×睡眠」の協業研究結果を公開
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  1. シート型睡眠計測センサーで睡眠状態を測定
  2. 意味あるセルフケアで睡眠改善も
  3. 経産省がフェムテックに後押しする理由

 「このプロジェクトは『身近な人の悩みを解決したい』という思いが発端。更年期の不調と睡眠は関係性があるといわれているものの、今の時代の女性たちが本当にどういう風に悩んでいるのは見えないと感じていた。その中で更年期世代の方の悩みをたくさん聞いていらっしゃる小林さん(陽と人 代表取締役の小林味愛氏)と出会い、もっとしっかり捉えたほうがいいと感じ、今回の調査に至った」(パラマウントベッド 大槻朋子氏)と経緯を話した。

パラマウントベッド 大槻朋子氏 パラマウントベッド 大槻朋子氏
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シート型睡眠計測センサーで睡眠状態を測定

 両社では、40~59歳の働く女性200人を対象にアンケート調査を実施。約7割が不眠の症状を有する可能性があることがわかったという。そこで、更年期の症状や不眠に対して軽~中程度の症状がある、働く40~59歳の女性30名を2つのグループに分け、Aグループには学習、睡眠計測、Bグループには学習、睡眠計測に加え、専門家のカウンセリング、自分にあったセルフケアの実施を行い、セルフマネジメントが女性の心身にもたらす効果を測定したという。

セルフマネジメント力が女性の心身にもたらす効果を測定 セルフマネジメント力が女性の心身にもたらす効果を測定
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 睡眠計測では、パラマントベッドのシート型睡眠計測センサーを使用。これは、わずかな体の動きから睡眠状態を測定でき、専用アプリを通して、睡眠スコアと睡眠改善アドバイスがわかるというもの。普段使っているマットレスや布団の下にセンサーを敷くだけで計測が可能だ。

 Bグループには、カウンセリング前にアロマディフューザーとピローミスト、デリケートゾーン専用のソープとオイルを送付。事前アンケートを実施した上で、更年期と睡眠の2つのカウンセリングを実施したという。

 更年期カウンセラーを務めた吉川千明氏は「更年期の症状は、今日のテーマでもある睡眠障害をはじめ、肩こりやめまい、ドライアイから動悸、息切れまでさまざま。人によって起こることが違うので、病院に行っても解決しなかったが、ホルモンバランスのせいだということがわかり、私は解決できた。この経験から、これはみんなに知らせなければと思い、今につながっている」と更年期の症状を自らの体験談を交えて説明した。

更年期カウンセラーを務めた吉川千明氏 更年期カウンセラーを務めた吉川千明氏
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意味あるセルフケアで睡眠改善も

 続けて、パラマウントベッド 睡眠研究所の塩貝有里氏は「更年期世代の働く女性の約7割が不眠の症状を持っていることがわかった。一般的に5割程度と言われているが、思った以上に多かった。更年期症状が重い人は不眠の症状も重い傾向にあり、睡眠と更年期の症状には非常に深い関連がある。今回更年期と睡眠というテーマでコラボしたのは必要だったのだなと新ためてわかった」と関連性を強調した。

パラマウントベッド 睡眠研究所の塩貝有里氏 パラマウントベッド 睡眠研究所の塩貝有里氏
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 今回の調査では「意味あるセルフケア」につなげることで、症状の改善などを促していることがポイント。「みなさん、不調だな、もう少し状態を良くしたいなと思った時に自分なりのセルフケアを取り入れていると思うが、これもあれもやってみようというより、もう少し自分の状態を客観視して、自分にあったケアの知識、理解を深めないと、意味あるセルフケアにつながないのでは」と小林氏と問うと、塩貝氏は「第三者の客観的な目が必要。更年期は心理的な不安などもあるので、それを一人で抱えるのではなく、他者と関わることで緩和されるのではないかと考えている」と答えた。

 実際、今回の調査で、カウンセリングまで受けた人の中には、カウンセリング後に睡眠時の中途覚醒や離床が減少し、睡眠効率が高くなった事例もあったという。

陽と人 代表取締役の小林味愛氏 陽と人 代表取締役の小林味愛氏
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経産省がフェムテックに後押しする理由

 今回の協業研究は、経済産業省の令和5年度経済産業省「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」の採択事業として実施したもの。経済産業省 経済産業政策局経済社会政策室係長の青栁光葉氏は「経済産業省では、さまざまなバックグラウンドを持つ多様な人材が活躍していくことを推進している。企業が女性の活躍に取り組むことにメリットがあることはさまざまな調査結果からデータで示されている。しかし、民間の調査によると月経前症候群PMSによる労働損失が4911億円という試算があったり、不妊治療と仕事の両立ができず、仕事をやめたり、雇用形態を変えたりしている方が3割以上いるというデータあったりする。女性の健康課題を解決することで女性が働きやすい環境整備が進み、さまざまな方が活躍できる企業にすることで、企業価値も上がっていく」とフェムテックの重要性を説いた。

 今回の研究は、2024年度以降も続けていく計画。大槻氏は「今回は企業や組織という文脈でお話させていただいたが、やはり一人の方をしっかり見つめ、健やかに安心して仕事や暮らしを続けていけるようなものはなにかを見つめながらプログラムを作っていきたい。一緒に取り組みたいと思ってくださる企業や自治体の方がいれば、ぜひ、取り組みを進められるようにしていきたい」と今後について話した。

陽と人 プレスリリース

CNET Japanでは2月19日からオンラインカンファレンス「CNET Japan Live 2024 1+1=2以上の力を生み出す『コラボ力』」を2週間(2月19〜3月1日)にわたり開催する。2月29日には、パラマウントベッド 大槻朋子氏と陽と人 代表取締役の小林味愛氏が登壇する予定だ。後半では質疑応答の時間も設けるので、今回の取り組みをより深く知りたい方はぜひ参加してほしい。

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