建設業界「2024年問題」、認知は7割に高まるが取り組み成果の実感は2割--アンドパッド調べ

 アンドパッドは1月25日、同社が建設業従事者を対象に実施した、4月施行の「時間外労働の上限規制厳格化」についての認知・対応状況に関する調査結果を発表した。それによると、「時間外労働の上限規制厳格化」の認知は67.1%、残業削減の効果を実感しているのは23.4%であった。


 調査は2023年10月、20から69歳の建設業従事者を対象に、インターネットで行ったもの。16業種の建設業から、1442件の有効回答数を得た。

 まず、「制度認知と取り組みの現状」については、「時間外労働の上限規制厳格化」の認知は全体の67.1%で、特にゼネコンでは、81.0%以上が認知していると回答した。残業抑制への取り組み状況も、全体の43.9%が取り組んでいる状況であるが、その取り組み効果を実感しているのは、23.4%にとどまった。

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 また、残業を45時間以上行っている回答者の50.7%以上が、残業を減らすための取り組みを行えていないと回答しており、DX化については、約4割が行いたいと回答。残業時間を削減するために、労働時間の管理・残業時間の管理、週休2日制の導入などを行っている企業が多い結果となった。


 次に、「実際の業務内容と稼働時間」については、日常の業務のうち、3時間以上「現場での作業・監督業務」を行っている人が約30%で、3時間以上「報告書・図面・見積もりなどの書類作成」を行っている人は約25%という結果。

 業務効率化したい業務のトップは、「報告書・図面・見積もりなどの書類作成」で、これらの業務効率化により、「現場での作業・監督業務」などのコア業務への集中が可能になるため、さらなる品質向上や安全性の確保が可能になるとしている。


 「業務効率化における経営層のDX化への考え」については、時間外労働の上限規制に対応するうえで、経営層の49.2%がDX化の重要性を認識。特にゼネコン、外構・エクステリア・造園、ガス・電気の領域において顕著であった。

 「取り組み内容」にっいては、制度対応に向け導入した方が良い取り組みとして、現場からは「DX化」「テレワークの導⼊」「残業に関するヒアリング」の要望が高かった一方で、経営層と⼀般社員・管理層とはスコア差が大きく開いた。

 導入した方が良いシステムとしては、経営層と⼀般社員・管理層ともに「施⼯管理」のスコアが⾼いという結果。特に⼀般社員・管理層でスコアが高く、経営層よりも現場からの要望が高い結果となった。

 また、取り組みが進まない理由としては、工期優先などの理由に加え、「IT化が遅れアナログな手法が当たり前になっている」との回答が多く、⼀般社員・管理層においては、「取り組みを推進する役割の人材がいない」という回答が多かった。


 アンドパッドはこれらの結果から、「時間外労働の上限規制厳格化」に対する取り組みが急がれる中、現場からは、「報告書・図面・見積もりなどの書類作成」などペーパーワークの業務効率化を強く求められており、社内で推進者をたて、DXツールの活用に取り組んでいくことが、成果を出すための近道であると分析している。

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