NTTドコモは1月16日、メタバース空間内のノンプレイヤーキャラクター(以下、NPC)を、テキスト入力のみで自動生成する生成AIを開発したと発表。
同社によると、メタバース業界は急速に成長し大きな注目を集めている一方で、利用するユーザー数は十分とは言えない状況であり、メタバース提供事業者の課題となっている。そこで、空間内の賑わいを創出し、群集心理の作用によりユーザーを惹きつけることにNPCが効果的であると考え、NPCを生成AIで制作できる同技術を開発した。同技術を利用することで、プログラミングやアルゴリズムなどの専門知識が無くても、外見や行動、空間内での役割を備えたNPCを20分程度で自動生成できるという。
なお、「行動ロジック生成AI」「アニメーション生成AI」「外見生成AI」の3つの生成AIで構成。「行動ロジック生成AI」の開発および、3つの生成AIを自動連携する技術の開発は独自のものとしている。
行動ロジック生成AIは、メタバース空間内のNPCの行動を規定する一意のビヘイビアツリーをテキスト入力のみで自動生成する技術。ビヘイビアツリーとは、NPCの行動を作るために用いられ、キャラクターの思考・行動を階層的に表現するツリー構造上に配置。行動に至るまでの思考の流れなど、視覚的にわかりやすくしたものとなる。
NPCの行動は、ビヘイビアツリーを用いて規定されることが一般的で、ビヘイビアツリーの作成には、これまでプログラム開発者がコード記述を用いて制作するなど、ある程度の技術が必要とされてきた。さらに、3つの生成AIを自動連携する技術の開発により、行動ロジック生成AIで生成したビヘイビアツリーと、アニメーション生成AIで生成したNPCの骨格データ、外見生成AIで生成したNPCの3Dモデルの3つを連携。テキスト入力のみで、NPCを自動生成することが可能となった。
3つの生成AIの連携では、「行動ロジック生成AIとアニメーション生成AIの連携」「アニメーション生成AIと外見生成AIの連携」の2つの連携によって実現している。
行動ロジック生成AIとアニメーション生成AIの連携では、行動ロジック生成の過程でアニメーション生成に必要なプロンプトを生成。アニメーション生成のための個別プロンプトの入力を要求せず、簡易かつ、スムーズな連携を実現した。
アニメーション生成AIと外見生成AIの連携では、外見生成AIから出力されたNPCの3Dモデルに対して、アニメーション生成AIの出力されるアニメーションに適合する骨格データを自動的に埋め込むツール(リギングツール)の開発により実現している。
メタバース空間内にNPCを10体配置する場合、ビヘイビアツリーの作成および、ビヘイビアツリーとNPCのアニメーション・外見の連携には、およそ42時間を要するといわれている。しかし、同技術を利用することで、1時間程度に削減可能となるため、メタバース提供事業者の課題であった空間内の賑わい創出が、スピーディーに実現可能だとしている。
同社では、同技術をさらに高度化し、2024年度中にNTTコノキューが提供する仮想空間プラットフォーム「DOOR」への実装を目指して取り組むという。
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