NTTドコモの子会社となるNTTコミュニケーションズは1月12日、市街地映像のビッグデータを利活用するための映像分散管理プラットフォームサービス「モビスキャ」を、2024年度上期から提供すると発表した。
街中を走行するモビリティから映像データを効率的に収集・蓄積し、そのデータを利活用するという。モビスキャを活用したソリューション「AI道路工事検知ソリューション(仮称)」も同時に提供開始予定としている。
モビスキャは、自動車などのモビリティに搭載したドライブレコーダーから街の映像を取得、効率的に蓄積する。データ活用パートナーが求める映像データの収集と活用を実現するという。
具体的には、NTT Comがモビスキャ搭載のドラレコを、タクシー・バス会社といったモビリティパートナーに貸与。パートナーが通常業務としてモビリティを運行させるなか、ドコモの特許取得済みの分散データ管理手法を活用し、映像に含まれる人物の顔などに対してマスク処理といった個人情報保護処理を施しつつ、映像データを蓄積。データ活用パートナーに提供するという。
NTT Comはモビスキャの特長として、複数のモビリティから映像データ収集することによる網羅的かつ高品質な映像データと、同じ場所の映像データを受け取った際の最良映像の選別保存機能、エッジAIによる物体検知判定で不必要と判断された映像データも、各ドラレコのSDカードに分散保存されることなどを挙げている。
今後は、電気業界向けの電柱の破損検知ソリューション、自治体向けの道路のひび割れ検知ソリューションなど、各業界の課題を解決するソリューションを展開する予定。
モビスキャとともに提供するAI道路工事検知ソリューション(仮称)では、街中の映像を解析し、実際の街中を走行して目視確認していた作業を代替できる。
具体的には、収集した映像に対して2段階のAI判定を実施し、AIの精度を担保しながら不必要なデータ通信を抑制。データ収集時にエッジAIを活用し、事前に指定した物体が検知された場合のみ、映像をサーバーへアップロードするという。
サーバーAIでアップロードされた映像は、分析・スコア化し、一定以上のスコアに到達した映像のみユーザーに提供する。データ活用パートナーは、UI画面のマップからクリックひとつで工事箇所の映像確認が可能だ。
例えば、ガスや電気、通信などのインフラ事業者が社用車で実施する日々のパトロールなどを代替し、作業者の人件費や車両走行に必要な燃料費・車両維持費といったコスト、作業者の確保などの課題を解決できるとしている。
NTT Comは、膨大な映像データをユーザー個々で収集・蓄積し、社会課題の解決に役立つビッグデータとして活用することは、コスト・人的リソースの点で現実的ではないと判断。NTT Comで映像データを取得・蓄積して顧客に提供するサービスを開発すべく、2021年9月から実証実験を実施していた。
実証を重ねることで例えば、開始当初71%だったサーバAIの検知率が89%まで改善したという。
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