オンライン融資サービス向けプラットフォーム「CE Loan」や「CE Collection」などを運営するクレジットエンジン・グループは1月17日、DGインキュベーション、静岡キャピタル、BRICKSFUND TOKYO(三菱地所のCVC)、三菱HCキャピタル、NOBUNAGAキャピタルビレッジ(十六銀行のCVC)、農林中金 キャピタル、SGインキュベート(西部ガスグループのCVC)の7社を引受先として、融資と併せて総額約12億円の資金調達を完了したと発表した。同社のミッション「“かす”をかえる。“かりる”をかえる。」の下、融資、債権回収業務の基盤サービスを目指す。
クレジットエンジン・グループは、オンライン融資サービス向けプラットフォーム「CE Loan」や「CE Collection」など融資や債権回収のサービスやオンライン融資サービス「LENDY(レンディ)」を展開。クレジットエンジン・グループ 代表取締役の内山誓一郎氏は「金融機関のサービスを良くすることによって、資金調達する人の体験をよくしていきたかった。融資を受けるためには、事業計画書をつくったり、資金繰り表を書いたりと、通常の事業者が得意ではないことをやらないといけない。この部分を解決したかった」と起業の背景を話す。
融資や債権回収の自社サービスを展開する一方で、金融機関にもシステムを提供。現在、メガバンクや地方銀行などに20サービス以上を提供する。
「自分たちで金融サービスを運用しているところが、私たちの最大の強み。システムを提供するだけでなく、どういうサービスがあればいいのか、というコンサルティングから提案できる幅広さをメリットに感じて導入してくれる金融機関も多い。それができるのは金融の知識と開発力があってこそ」(内山氏)と分析する。
内山氏自身は、新生銀行(現SBI新生銀行)で、不動産関連の融資やストラクチャードファイナンスなどを担当してきた金融業界出身者。同社のボードメンバーにも金融機関出身者が名を連ねる。一方で、エンジニアが社員全体の4割を占めるなど強固な開発体制も築く。「エンジニアの獲得は、他社同様に大変なところ。私たちは金融といっても、決済や投資などの一般ユーザーから見えやすい部分ではなく、債権回収といった、課題が見えづらい。その分、入社してからやりがいを感じてもらえるケースが多いと思う」とエンジニアの採用にも力を入れる。
2017年のLENDYサービス開始当時は、フィンテックの流れが業界全体で盛り上がっていた時期。内山氏は「いろいろな会社が新しい金融サービスを始めた時期もあったが、現状は落ちている印象。私たちはその中で、とても地味にやっているというか、着実に取り組み、少しずつ成長している」と現状を話す。
その中でも新たな取り組みとして見据えるのは海外展開だ。現在、シンガポールをベースに、東南アジア向けの営業を開始。タイとフィリピンでPoCもスタートする。「東南アジアの一部では、まだ人が債権回収に出向くビジネスが一般的。そこをデジタル化して、効率化していきたい。そこが私たちができることだと思っている。日本では、メガバンクに導入実績があると、それが信用につながるが、東南アジアでは実績がない状態なので、そのハードルを超えるのが第一段階」(内山氏)と新たな市場開拓に挑む。
今回の調達で得た資金は、サービス開発と採用に充てる計画。「日本における業界の認知度はいただいているので、導入のお話を先方からいただける状態。今後は金融業界以外の人や、この業界に縁がないと感じていらっしゃる方にも知っていただけるサービスを目指したい」(内山氏)とした。
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