2023年は、2022年末にOpenAIが発表した「ChatGPT」を皮切りに、生成AIが多くの話題を集めた。テキストを会話形式で打ち込むことで結果を表示可能で、一部おかしな回答の場合もあるが、学習していくこともできる。これからも活用範囲はさまざまな場所に広がるだろう。
「Adobe Photoshop」「Adobe Illustrator」といったクリエイティブツールを提供するアドビは、3月に発表した画像生成AI「Adobe Firefly」の活用に注力。9月には一般提供を開始し、Photoshopでの画像の作成や、Illustratorでの画像の再配色、オンライン写真/デザインツール「Adobe Express」で作成したポスター・動画の外観を整えるなど、生成AIでさまざまなことができるようになった。
11月に開催した自社イベント「Adobe MAX Japan 2023」では、生成AIを活用したさまざまなデモンストレーションが披露された。
10月には、LINEヤフーとクリエイティブ創作支援のための協業を発表。Adobe Expressと広告バナーなどを制作できる「LINE Creative Lab」を連携させるという。2024年2月頃から、「LINE広告」「LINE公式アカウント」といったLINEヤフーのビジネス向けサービスで使用するクリエイティブ画像や動画を、Adobe Expressで手軽に作成、編集し、「LINE Creative Lab」へ保存できる機能を活用できる見込みだ。
LINEヤフー 上級執行役員 マーケティング ソリューションカンパニー カンパニーCPOを務める二木祥平氏は、「ものすごいスピードでクリエイティブ生成が進化しており、毎日何億、何十億ものクリエイティブが生成されている。一方で、コンテンツが多いのため、レコメンデーションやAI技術であらゆるクリエイティブを効率よく消化できるというメディア体験が一般的になりつつある」とし、ある種、“ジャンクフード的なコンテンツの消費”が増え始めていると表現している。
Creative LabとAdobe Expressの連携により、より簡単なクリエイティブ生成を推進しつつ、収益をクリエイターへ還元する仕組みにも注力していくと語った。
また、アドビは11月、noteとも連携を発表。noteの記事を作成する際に「Adobe Expressで画像をつくる」を選び、見出し画像を作成できるようになった。
「クリスマスツリーと猫とプレゼント」の見出し画像を作ってもらったところ。同じテキストから同じ画像を再度作れる可能性は低いという。
アドビ 常務執行役員CMOを務める里村明洋氏は、2社との連携により、「プロのクリエイターの層でない、例えば“ビジネスコミュニケーター”“ソーシャルクリエイター”といった、プロではないがその周辺に存在する方々にもリーチできる」と、従来はクリエイティブ制作を専門としていなかった層にもリーチできると、連携の意義を話す。
また、国内ではLINEヤフー、noteを皮切りに開始した動きだが、米国や欧州などでもこういった動きを進めているとも明かし、生成AIを活用したクリエイティブ制作の裾野の拡大に注力していると語った。
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