ダイハツ工業は12月20日、4月に発覚した一連の不正についての会見を実施し、ダイハツ工業 代表取締役社長を務める奥平総一郎氏、ダイハツ工業 代表取締役副社長の星加宏昌氏、議決権を100%保有する親会社のトヨタ自動車から代表取締役副社長の中嶋裕樹氏が参加した。
奥平氏が「顧客をはじめ、全てのステークホルダーの絶大な信頼を裏切ってしまった。大変申し訳ございませんでした」と語るなど、陳謝が繰り返される会見となった。
奥平氏は、「ダイハツに来て初めて感じた印象は、非常に真面目な会社であるということ。短期開発だけでなく、コスト削減なども考慮して一生懸命取り組んでいた。それがゆえに、それを自分たちの仕事のモットーとして仕事してしまったことが原因の一つにあると思う。そこに気づけなかった。役員なり幹部職なりが現場に行って外から見て困り事を吸い上げるような努力が十分でなかった」と話す。
また、今後社風を変えるべく取り組むが、自分たちだけでなく、指導、継続的な監視を外部に委託する考えも明らかにした。
なお、辞任についての記者からの問いに対しては、「まずは足下を第一に片付け、再発防止にある程度の道筋をつけ、責任とさせていただきたい」とこたえ、明言を避けている。
ダイハツは本件に関し、国内外で生産中の全ての開発車種の出荷を一旦停止することも発表している。再開についての問いに対しては、「これから換算になるので、最低期間含めて全くわからない」(奥平氏)との返答にとどめた。
一方で、出荷が止まることによる取引先などへの補償について、星加氏は「部品の納入をお願いしているサプライヤーは国内で423社おり、そのうちダイハツへの売り上げの依存度が10%以上の企業は47社で、34社ほどが中小企業。(発注済みの分が終わると)かなり大きな影響が出る。1社ごとに相談し、補償を検討していきたい」と話した。
なお、ダイハツは本件に際してコールセンター(0120-055-789、受付時間9~21時)を設置しているが、対象車種のユーザーに対しては、「社内の検証では、(乗車自体に)問題がある事象は生まれなかった。市場からも、事故や問題が発生したという報告もない。個人的には、今まで通り安心して乗っていただきたい」(奥平氏)と話している。リコールについては、国交省の判断に従うと語っている。
中嶋氏は、問題発覚以降、トヨタ側の窓口として陣頭指揮を執ってきたという経緯から、会長である豊田章男氏、社長である佐藤恒治氏ではなく、中嶋氏が出席したと経緯を説明。「この問題は、会長、社長含め、『トヨタの問題』として捉えている。認証の適切な取得は、自動車メーカーが事業を行なう大前提で、軽視していると指摘されても仕方ない不正が行なわれた。環境を構築する経営陣として、自動車メーカーの根幹を揺るがす事態であると、大変重く受け止めている。子会社であるダイハツに(トヨタの理念である)“現地現物”が展開できなかったことなども含め、真摯に受け止めたい」(中嶋氏)と語った。
また、トヨタ自体の業績予想などへの影響は分からないが、一日でも早く安心して乗ける車を届けることに注力したいと話した。
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