日本電信電話(NTT)で代表取締役社長を務める島田明氏は12月13日、総務省で開催された通信政策特別委員会(第10回)で「NTT法廃止にこだわっているわけではない」と発言した。
また、自民党の政策提言に盛り込まれた「2025年をめどにNTT法の廃止を求める」との文言についても「2025年にNTT法を廃止するというのは私どもが言っているわけではない」(島田氏)と発言。自民党のプロジェクトチーム(PT)が決めた方針だとした。
同委員会にはNTTの島田社長のほか、KDDIで代表取締役社長 CEOを務める高橋誠氏、ソフトバンクで代表取締役社長執行役員兼CEOを務める宮川潤一氏、楽天モバイルで代表取締役会長を務める三木谷浩史氏も同席していた。
島田氏の発言を受けて、KDDIの高橋氏は「島田氏は2025年の廃止にはこだわらないとおっしゃっていたのが良かった」と述べた。また、ソフトバンクの宮川氏も「自民党のPTが勝手に言っただけということで、ちゃんと議論していただける人だなと安心した。ようやく落とし所が見えてきた」と述べた。
楽天の三木谷氏は「拙速な議論を避け、(2025年のNTT法廃止に)こだわらないという発言が(NTT島田社長から)出たのは良かった」としつつ「一部の議員だけでプロジェクトチームを作って(2025年の)NTT法廃止を押し通そうとするのが今の与党のやり方なのか。その目的はどこにあるのか」と述べ、自民党の姿勢に疑問を投げかけた。
NTT法の議論は、防衛費増額のための財源として、国が保有するNTT株を売却する案が自民党内で浮上したことがきっかけとなった。同株の売却にはNTT法の改正が必要となるが、NTTはNTT法に定められた外資規制や、研究成果の開示義務などが「時代遅れ」と主張。結果的に「2025年をめどにNTT法の廃止を求める」との提言案が自民党でまとめられた。
一方、NTTの光ファイバーや局舎、洞道などを利用して事業を展開しているKDDI・ソフトバンク・楽天らは、NTTが日本の通信インフラの大家であると強調。そんなNTTが完全な民間企業となれば、NTTとNTTドコモ、NTT東西が一体化した「巨大なNTT」が誕生し、公正競争が阻まれ通信料金の値上げにつながると主張していた。
また、NTT法の時代遅れな点は法改正で対応できるとして「なぜNTT法の改正ではなく廃止にこだわるのか理解できない。何か別の意図があるのでは」とNTTや自民党PTを批判していた。
(更新:2023/12/13 16:13)KDDI高橋氏とソフトバンク宮川氏の発言が一部入れ替わっている箇所がありました。訂正しお詫び申し上げます。
(更新:2023/12/14 06:00)NTTは13日夜にウェブサイトを更新。島田社長の「NTT法廃止にこだわらない」という発言について『「2025年にNTT法廃止を求めているのは当社ではなく、あくまで自民党 政務調査会の提言である』という事実を回答したもの」と補足説明した。
また、「(NTT法の)重要な見直しは、議論の結論を得た上で、可能な限り早期に行うことが望ましく、自民党の提言において見直し時期について、『2025年の通常国会を目途に』とされたことも含め、最大限尊重しながら議論を重ね、早期に結論を得ていくことが重要と考えている」とも付け加えた。
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