ついに納車開始、テスラのピックアップEV「Cybertruck」

Antuan Goodwin (CNET News) 翻訳校正: 矢倉美登里 吉武稔夫 湯本牧子 (ガリレオ)2023年12月04日 12時54分

 米国の電気自動車(EV)メーカーであるTeslaは米国時間11月30日、議論の的となりがちな最高経営責任者(CEO)のElon Musk氏が司会を務め、オースティンにある工場「Gigafactory」で開催されたライブイベント中に、ピックアップトラック型のバッテリー式電気自動車「Cybertruck」の最初の10台を購入予約者に引き渡した。このイベントは、Musk氏が保有するソーシャルメディアプラットフォーム「X」(旧Twitter)でライブ配信された

Cybertruck
提供:Tesla

 Cybertruckが初披露されたのは2019年11月のことだ。その時に発表された内容は粗削りで、控えめに言ってもぎこちないものだったが、Tesla初の電動ピックアップトラックは、市販されているどのトラックにも似ていなかった。性能に関する大胆な主張と、Teslaの業界トップの航続距離についての約束、筆者が見た中でも有数の突飛な機能により、Cybertruckは世界の注目を集めた。

 筆者ですらその熱狂に巻き込まれ、イベント直後に予約金100ドル(現在のレートで約1万4600円)を支払ったが、生産開始が何度か延期されたため、TeslaがCybertruckを生産できると信じる気持ちが薄れ、1年後に先行予約をキャンセルした。この数年間、Cybertruckの状況についてTeslaからの最新情報はわずかで、ウェブサイトからは価格と仕様が削除され、またMusk氏がCybertruckの防水性能についてボート代わりになるなどと主張したため、筆者が期待値を下げたのは正しかったように思えた。

 だが、Cybertruckはついに登場した。筆者は今笑いものだ。少なくとも、少数のアーリーアダプターから見れば。

Cybertruckを銃で撃つ様子
Teslaはさまざまな銃を使って、Cybertruckの防弾仕様のドアをデモンストレーションした
提供:Tesla

「Cyber Thursday」イベントで発表

 驚くようなことではないが、Cybertruckは非常に幾何学的なデザインを保っている。ステンレススチール製のボディパネルから塗装が剥がれることはないが、それはもともと塗装されていないからだ。全長は5682.9mmのままだが、幅は2413.3mmに広がっており、これは法的に必要とされるウイングミラーを追加したためだ。

 ライブストリーム中、Teslaのスタッフは今や悪名高い窓を割るデモをもう1度やって見せたが、今回は金属製の重いボールではなく野球のボールを使った。筆者に言わせれば、かなり弱そうな投げ方だったが、少なくとも今回はガラスが砕け散ることはなかった。

Cybertruckにボールを投げつける様子 提供:Tesla

スペック

 Cybertruckは、搭載されるモーターの数によって3つのモデルの中から注文できる。

 最上位の「Cyberbeast(サイバービースト)」は、電気モーター3基(後車軸に2基、前車軸に1基)を搭載し、輸送費用や補助金を除いた価格は9万9990ドル(約1460万円)だ。合計約845馬力のこのトラックは、「Beast」モードの場合、時速0kmから100kmまでわずか2.7秒で加速し、最高速度は時速209kmに達する。Teslaは発表イベントで、Cyberbeastが400mほどの距離を「Porsche 911」をけん引しながら、別のPorsche 911を上回る速度で加速する映像を流した。現時点ではバッテリー容量に大きな疑問符がつくが、Teslaは1回の充電による航続距離を推定515kmとしている。これは、当初2019年に発表していた500マイル(約800km)より短い。

他の車両との比較
提供:Tesla

 ラインアップの中位モデルが7万9990ドル(約1180万円)のAWD(全輪駆動)モデルで、前後の車軸に搭載されるモーターは各1基に減り、合計600馬力となる。それでも、時速0〜100kmへの加速は4.3秒、最高時速180km、、航続距離547km(推定)というパフォーマンスには、依然として目を見張るものがある。

 最後に、シングルモーターのRWD(後輪駆動)モデルは6万990ドル(約900万円)からで、納車は2025年以降になる予定だ。このモデルのスペックに関する詳細情報は少ないが、時速0〜100kmへの加速6.7秒、航続距離402km(推定)になることは分かっている。

 どのモーター構成を選ぶにせよ、Cybertruckは6フィート(約180cm)の荷台に1134kgを積載可能で、1897Lのロック可能な収納スペースを備える。35インチ(約90cm)のタイヤと、433mmまで調整可能な地上高、トラベル量305mmのエアサスペンションにより、35度のアプローチアングルと28度のデパーチャーアングル、そしてわずかながらもオフロードの信頼性を実現している。

サイバービースト
サイバービースト
提供:Tesla

搭載設備

 Teslaによると、Cybertruckは最大250kWの直流(DC)急速充電能力を備え、十分に強力な「Supercharger」で15分間充電すれば、サイバービーストの場合なら最大206kmの航続距離を実現できるという。荷台には、ツールや機器、さらには住宅に最大11.5kWの双方向電力を供給できる120V/240Vのコンセントもある。

 車内は、Cybertruckのシンプルなダッシュボードにディスプレイが1つ横向きに置かれているだけだが、そのサイズは18.5インチと大型だ。後部座席の乗客向けには中央コンソールに9.4インチのディスプレイがある。Cybertruckの車内には、スマートフォン用のワイヤレス充電パッドや、病院並みのグレードのHEPAフィルターを搭載した「対生物兵器モード」、全面ガラス張りルーフの下に5人の大人が乗車できる空間もある。

 Cybertruckは、11月30日にオースティンにある組立ラインからの出荷が始まり、顧客の元に向かっている。そうした顧客の仲間入りをしたいという最先端を行く未来派の人たちは、最近値上げされて250ドル(約3万7000円)になった払い戻し可能な予約金を支払えばCybertruckを予約注文できる。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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