企業は通常、従業員が業務を遂行するためのデスクトップPCの維持にかなりの費用を投じている。従業員が特定のクラウドベースのアプリケーションにだけアクセスできれば社内の業務を果たせるという場合、それらのPCはITサポートにたびたび問題をもたらすうえに、過剰である可能性がある。
デスクトップPCの代わりに、簡単に使える端末を従業員用に導入できるとしたらどうだろうか。そのデバイスは、Amazon Web Services(AWS)のクラウド専用に設計されていて、処理能力を同クラウドにオフロードし、従業員に必要なアプリケーションのみを提供する。
それが「Amazon WorkSpaces Thin Client」の目的だ。Amazonは、ストリーミングメディアプレーヤー「Amazon Fire TV Cube」を当初とは異なる目的に利用することにより、多くの大企業にとって理想的なデスクトップソリューションとなり得るものを考案した。Fire TV CubeとAmazon WorkSpaces Thin Clientの最大の違いは、後者のUSBポートとHDMIポートはテレビ(または他のエンターテインメント用ハードウェア)には接続されないことだ。それらのポートは、同デバイスを「Amazon WorkSpaces」「Amazon WorkSpaces Web」「Amazon AppStream 2.0」の環境で機能するスモールフォームファクターPCに転換するための周辺機器(モニター、キーボード、マウスなど)に接続される。
このデバイスには、Amazonのクラウドベースアプリケーションへのアクセスを提供する、特定のOSが搭載されている。
AWSでエンドユーザーコンピューティング担当製品ディレクターを務めるMelissa Stein氏によると、「コールセンターや決済処理のように、特に従業員の入れ替わりが激しい環境に対応する、より低コストのデバイスが必要だという要望が顧客から寄せられていた」という。「選択肢を検討したところ、Amazon Fire TV Cubeに使っていたハードウェアが、クラウドベースの仮想デスクトップにアクセスするために顧客が必要とするすべてのリソースを提供することが判明した。そこで、このデバイス向けにまったく新しいソフトウェアスタックを構築した。新しいハードウェアを設計して構築する必要はなかったため、それによって浮いたコストを顧客に還元している」とStein氏は述べた。
デスクトップPCの場合は、1台あたり600~1200ドル(約9~18万円)の費用が生じるのに対し、Amazon WorkSpaces Thin Clientは195ドル(約2万9000円、シングルスクリーンの場合)または279.99ドル(約4万2000円、デュアルスクリーンの場合)で、Amazonの米国向けマーケットプレイスで発売されている。2024年前半には他の国でも発売予定だ。
同社によると、これらのデバイスはより低いコスト、より高いセキュリティ、簡素な管理、使いやすさという、従来のデスクトップには太刀打ちできないメリットを企業に提供するという。Amazon WorkSpaces Thin Clientは、コールセンター、タスクワーカー、トレーニングセンターをはじめとするさまざまなユースケースに適している。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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