「おとなしい」ということばがある。大人を形容詞にした「大人しい」が語源で、大人びている、成熟していることを表すことばだった。静かで、穏やか、素直であることを指すようになったのは中世以降とする辞書もある。
日本語は語源がはっきりとしないものが多い。ひとつの単語にいくつもの意味があり、それが連なったことばは多義的で、いろんな解釈ができ、雑然としている。
思考するとき、多くの日本人は母国語である日本のことばを使っている。考えながら、思考をそのまま口にする人は少数派なので、ほとんどの人は静かに思考していることだろう。だからこそ、「おとなの思考」ができているかどうかに周りは気がつけないし、他人の頭の中と比較できないから、当人自身も自覚できない。
本書はベストセラー「思考の整理学」の著者である外山滋比古氏が、40年前に書いた内容をベースとしている。「知識は多ければ多いほどよい」といった、多くの人たちが考えずに肯定してきた常識を、くるりくるりと反転していく。
年齢を重ねて体は自然と成熟していく。頭の方はどうだろう。ジタバタせずに大人しく、これまで通りの生活を続けるのもいいが、「おとなの思考」によってみずからの生活を見直し、生涯をかけるライフワークに取り組み始めるのも、素晴らしい「おとなの生き方」ではなかろうか。本書はそのきっかけとしてまたとない1冊である。
今回ご紹介した「学校では教えない逆転の発想法 おとなの思考」の要約記事はこちら。この記事は、ビジネスパーソンのスキルや知識アップに役立つ“今読むべき本”を厳選し、要約してアプリやネットで伝える「flier(フライヤー)」からの転載になります。
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