日本航空(JAL)は、11月7日に「JAL Global WALLETアプリ」をアップデートし、「JALマイレージバンクアプリ」(JMBアプリ)をリリースした。これにより、JALのスマホ決済「JAL Pay」の支払い方法が拡充され、より多くの店舗で利用できるようになった。
便利になったJAL Payの使い勝手や、同様に航空会社が提供する決済サービス「ANA Pay」との違いなどについて解説する。
まず、11月7日のアップデートに伴う、主な変更点をまとめよう。以前のJAL Global WALLETアプリは、トラベルプリペイドカードの「JAL Global WALLETカード」からチャージしてJAL Payでコード決済するスタイルだった。JMBアプリでは、新たにネット決済やタッチ決済にも対応。なお、JAL Global WALLETアプリでチャージしていた残高は、引き続き利用できる。
また、JMBアプリはデジタル会員証の機能を備え、JALのマイレージサービス「JAL MILEAGE BANK」の会員ステイタスや保有マイル数を確認できるようになった。その際、会員証、保有マイル数、JAL Pay残高の表示を1タップで切り替えられるのが便利だ。
JALの会員向けサービスにも簡単にアクセス可能になり、特典航空券への交換や「JAL Mall」での買い物などが手軽になった。
また、JAL Payの支払い方法には新たに、「Apple Pay」を追加。Mastercardのタッチ決済加盟店や「QUICPay+」加盟店でタッチ決済が可能となり、iPhoneやApple Watchで素早く決済できるようになった。JAL Payを設定すると発行されるMastercardのバーチャルプリペイドカードの番号を使うことで、オンラインショップでのネット決済も可能だ。なお、Android端末は現時点では「Google Pay」に未対応なので、タッチ決済は利用できない。
コード決済は、JCBが提供する決済スキームの「Smart Code」加盟店ではQRコードを提示するストアスキャンで、JAL Pay加盟店では店舗側のQRコードを読み取るユーザースキャンスタイル。実際にJAL Pay加盟店の「TABITUS+STATION」で利用してみたのだが、通常のQRコード決済サービスと同じく、レジに置いてあるQRコードを読みとって手軽に支払うことができた。JAL Pay加盟店はこのTABITUS+STATIONのほか、全国の空港にある「JAL PLAZA」、JAL機内販売などになる。
JAL Payへのチャージは、JAL NEOBANK・住信SBIネット銀行の口座のほか、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行のインターネットバンキングから可能。3000マイルからだったマイルのチャージは500マイルからとなり、利用しやすくなった。
なお、JAL NEOBANK・住信SBIネット銀行の口座利用者の場合、オートチャージができるところもメリット。さらなるサービス拡充として、クレジットカードチャージや新たな決済方法の追加も予定している。
JAL Payには3段階のコースがあり、そのコースによって利用限度額や海外での利用可否が異なる。JALが発行するクレジットカード「JALカード」を持っていない場合は「コース未選択」となり、海外での利用は不可。JALカードやJMB会員を対象としたネットバンク「JAL NEOBANK」(住信SBIネット銀行 JAL支店)に加入することで「ショッピング専用コース」になり、海外ショッピングや両替が可能となる。
さらに、マイナンバーカードや運転免許証、パスポートなどの本人確認書類を提出することで「ショッピング+ATMコース」となり、海外ATMでの出金にも対応する。
いずれも、JAL Payを利用した場合に獲得できるマイルは200円ごとに1マイルと、変更はない。しかし、ショッピング専用コースやショッピング+ATMコースは、日本円から外貨(対応する14通貨)に両替した場合にもマイルを獲得できる。ショッピング専用コースは1000円で5マイル、ショッピング+ATMコースは1000円で7マイルの獲得となる。
また、多くチャージし過ぎた時に、ショッピング+ATMコースなら出金することができる。その際、JAL NEOBANK・住信SBIネット銀行口座は無料。その他の国内金融機関口座の場合は1回550円の手数料が必要だ。
JALでは、日常生活のさまざまなシーンでマイルを貯めて、非日常の特別な体験でマイルを使う「JALマイルライフ」を推進している。
2024年1月からは、新しい生涯実績プログラム「JAL Life Status プログラム」を開始。JAL便の搭乗など、対象サービスの利用によって「Life Status ポイント」が獲得できるようになる。
このポイントの保有数によって6つのグレードを導入し、グレードごとにさまざまな特典を用意する。JAL Payの利用で得られるマイルも、この新プログラムの対象となる。
なお現在、「JALグローバルクラブ」の会員は、自動的にこのプログラムに移行される。また、1年間の搭乗実績に応じてステイタスや特典が提供される「FLY ONプログラム」に変更はない。
Life Status ポイントは生涯貯まり続けるので、JAL Payを日々、コンビニやスーパー、飲食店など、さまざまな場所で利用することでポイントが貯まりやすくなり、新プログラムのグレードも上がっていくというわけだ。
よくJAL便に搭乗するという人ならJALカードに加入し、搭乗マイルを効率良く貯めるのがいいだろう。端数のマイルはJAL Payにマイルチャージ。JAL PayとJALカードの決済でマイルを貯めつつ、Life Status ポイントについてもコツコツと積み重ねていくことで、いずれJAL Life Status プログラムのグレードに到達できるだろう。
ANAグループもJAL Payと同様に、「ANAマイレージクラブ アプリ」(AMCアプリ)で使えるスマホ決済サービスとなるANA Payを提供している。
以前はJCBブランドのクレジットカードからチャージして利用するコード決済サービスだったが、5月23日に支払い方法やチャージ方法など、大幅に機能を拡充。11月7日にもアップデートがあり、Smart Code対応加盟店でのコード払いにも対応した。
なお、以前の「旧 ANA Pay(コード払い)」は11月6日に終了。残高がある場合は払い戻しされる。
AMCアプリでは、「ANAマイレージクラブ」の会員ステイタスや保有マイルなどが確認できる。ANAの会員向けサービスにアクセスしやすい点などはJALのJMBアプリと同様だ。
異なるのは、ANA Payは支払い方法が「ANA Payキャッシュ」と「ANA Payマイル」の2つあるところ。ANA Payキャッシュは、クレジットカードまたはApple Pay、現金(セブン銀行ATM)からチャージされたプリペイド残高のことで、ANA Payマイルは、ANAマイルからチャージされたプリペイド残高になる。
それぞれは簡単に切り替えられるが、合算して支払うことはできない。また、マイルが獲得できるのはANA Payキャッシュの決済のみで、200円につき1マイルを獲得できる。決済時にはどちらで支払うのか間違えないようにしたい。
ANA PayキャッシュもANA Payマイルも決済方法は同じで、Visaのタッチ決済加盟店や「iD」加盟店でのタッチ決済が可能。Apple PayやGoogle Payに対応しているので、タッチ決済する場合は各ウォレットにANA Payを設定して使用する。Smart Code対応加盟店ではコード払いに対応。自動的に発行されるバーチャルプリペイドカードを利用して、オンライン上のVisa加盟店での買い物もできる。
ANA PayキャッシュへのチャージはVisa、JCB、Mastercard、Diners Clubブランドのクレジットカードやデビットカードから1000円以上、1円単位で可能。その際、「ANAカード」でチャージすると、「ANAカード(一般)」は1000円あたり1マイル、「ANAカード(ゴールド)」なら6マイル、「ANAカード(プレミアム)」なら11マイル獲得できるところがお得。クレジットカードの場合、オートチャージにも対応する。セブン銀行ATMから現金チャージする場合は、紙幣でのみ1000円以上から可能だ。
ANA Payマイルへは1マイルからマイルチャージできる。いずれもマイナンバーカードや運転免許証などで本人確認することでチャージの上限額がアップするので、よくANA Payを利用する人なら本人確認をすることでより快適に利用できるだろう。
AMCアプリでは、ANA Pay決済時に利用できるお得なクーポンを獲得することもできる。アプリの「スポット」メニューから、都道府県名や現在地からの距離などを選択して検索する。主に空港のギフトショップ「ANA FESTA」のクーポンが多いので、ANA便に搭乗する場合はあらかじめチェックしておくことで、お得にお土産が購入できそうだ。
ANAも、1年間の搭乗実績に応じたステイタスプログラムを提供している。あまり飛行機を利用しない人でも、買い物などの生活全般のライフソリューションサービスの利用と、ANAカード・ANA Pay決済額の総額に応じてステイタスや特典が狙えるようになっている。
ただし、プログラムの対象期間は1年間になるので、JALのようにコツコツ貯めるというわけにはいかない。ANAの場合は1年間に買い物をまとめる工夫が必要だ。
ここまで説明したJAL PayとANA Payの利用に関する内容を、以下の表にまとめてみた。それぞれ微妙に使い勝手が異なることがわかるはずだ。利用に対しては必然的にJALをよく利用する人はJAL Pay、ANAをよく利用する人はANA Payと分かれてしまうだろうが、いずれも空港や街、オンラインでの支払いなどに利用することでマイルが獲得できるので、うまく活用して実際の搭乗時に役立てたい。
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