人工知能(AI)が人間と同等の知能を持つことはあるのだろうか。それは知能をどう定義するかにもよる。ただし、どう定義されようとも、AIの超知能(superintelligence)という目標を達成することは、OpenAIの最高経営責任者(CEO)を解任されたSam Altman氏が生きているうちにかなえたいとしていたことだ。
英Financial Timesが現地時間11月13日に公開したインタビューで、同氏はAIを人間と同等に賢くする上で課題があることや、汎用人工知能(AGI)実現への道のりにおいてMicrosoftの資金提供が重要な一歩であることなどを語っていた。
OpenAIはより高度なバージョンの「ChatGPT」を開発するため、Microsoftから今後数年間で段階的に100億ドル(約1兆5000億円)という巨額の出資を受けることで合意している。Altman氏は、OpenAIがAIの概念と構築を拡大し続けようとする中で、Microsoftや他の投資家からさらに多くの資金を集めようとしていた。
同氏はインタビューの中で、OpenAIとMicrosoftのCEOであるSatya Nadella氏とのパートナーシップは「非常にうまくいっている」と述べ、「時間とともにはるかに多くの資金を調達」できるとの見方を示した。資金は、より賢く洗練されたAIモデルを開発する上で必要な要素だ。
Microsoftからさらなる出資を受けられそうか尋ねられたAltman氏は、次のように答えた。「そう願いたい。現在とAGIの間にはまだ長い道のりがあり、処理能力を大幅に拡張しなければならない。(中略)学習にかかる費用はとにかく膨大だ」
OpenAIの名はCharGPTによって広く知れ渡ったが、同社にとっての課題は、持続可能で利益の出るビジネスモデルを作ることだ。ユーザーのみならず投資家にもその価値を証明するため、OpenAIは6日に同社初の開発者カンファレンス「DevDay」を開催し、数多くの新しい構想を発表した。
同社は現在、有料登録者が各自のタスクに特化したチャットボットを作成できるカスタムGPT機能を提供している。GPTストアは11月中にも運用が始まる予定で、良質なGPTを販売し、最終的にはクリエーターが売り上げの一部を受け取れるような仕組みも考えている。またOpenAIはリサーチツールとしてのAIの能力を強化するため、「GPT-3.5」「GPT-4」の「知識のカットオフ日」(情報の最終収集日)を延長した。
Altman氏はFTのインタビューで次のように述べている。「いま人々は、このリサーチラボがある、このAPI(ソフトウェア)がある、Microsoftとのパートナーシップがある、このChatGPTがあると言っているが、そこにGPTストアも加わる」「しかしこれらは実のところ当社の製品ではない。当社が提供している唯一の製品へのチャンネルであって、その製品とは知能、空に輝く魔法のような知能だ。われわれが手がけているのはそういうものだと思っている」
こうしたことを考えると、Altman氏とOpenAIにとって究極の目標は依然として超知能だ。ChatGPTなどの生成AIによるチャットボットは膨大な量のデータを保持し、人と会話し、さまざまな質問やリクエストに対応できる。しかし、人間が持っているような知能はない。AIが真の知能を獲得するには、少なくとも人が実行できるあらゆるタスクを単独で自律的に実行できるようになる必要がある。
同氏はインタビューの中で、OpenAIではより自律的なエージェント、例えばコードの実行、支払い、電子メールの送信、保険金などの請求といった特定のタスクを実行できるエージェントの開発に取り組んでいると述べた。実行するタスクの複雑さが増すにつれて、これらのエージェントもより強力にする計画だという。
OpenAIは、AIモデルの次期バージョン「GPT-5」にも取り組んでいる。GPTの現行バージョンはすでにテキスト、プログラムのコード、マルチメディアを生成できるが、GPT-5にはどのような能力が加わるのだろうか。その点についてはAltman氏も、開発者たちが新しいモデルの学習に着手するまで分からないと認めている。
OpenAIは引き続き、超知能という最終目標を探求していく。AGIを開発する取り組みでは、AIが理解という点で必要な根本的飛躍を遂げられるよう、パズルの欠けた1ピースが求められる。
Altman氏は、アイザック・ニュートンが必要な知識を得るため、まず数学の教科書を読み、教授と話す必要があったことを引き合いに出した。それが現在のGPTモデルでできることだという。しかし、ニュートンは教科書を読むだけで微積分の発明はできなかっただろう。
「われわれのモデルも同じだ」と同氏は述べ、「人類のために新しい(中略)知識を生み出すために欠けているアイデアは何だろうか。私はそれが、これから取り組むべき最大のことだと考えている」とした。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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