「Android」ユーザーは非常に長い間、アプリをサイドローディングしてきた。サイドローディングとは、例えば「Google Play」ストアなどの純正アプリストアを経由せずに、サードパーティー製アプリをインストールすることだ。
残念ながら、この機能は問題を引き起こしてきた。サードパーティーによるアプリストアでは、悪意のあるコードを含むアプリが配信されていることがあるからだ。問題が深刻化したため、Googleはサードパーティーアプリのインストールを完全には制限していないものの、ユーザーがセキュリティ設定を無効にしない限り、通常は「Google Play」ストア以外からアプリをインストールすることはできない。
「設定」>「アプリと通知」>「詳細設定」>「特別なアプリアクセス」>「不明なアプリのインストール」でこの機能を有効にできるが、インストールしたいアプリが100%安全だという確信がない限り、有効にはしない方がいいだろう。
そのため、欧州連合(EU)の新しい規制(特に2022年に施行された「デジタル市場法」)への対応を迫られるAppleが、「iOS」におけるアプリのサイドローディングの許可を検討していると報じられたのは驚きだった。「App Store」の初期から、同社はサイドローディングに対して明確(かつ厳格)なポリシーを採用してきた。しかし、9to5macが米国時間11月10日に報じたところによると、Appleは次期「iOS 17.2」から同機能に対応することを示唆しているという。
この報道後、Appleが「Managed App Distribution」と呼ばれる新しいフレームワークに関する文書を公開したことが判明し、文書からAppleがどのような計画を進めているのかが明らかになった。
同社の計画は、ユーザーに広くアプリのサイドローディングを許可する代わりに、この機能をモバイルデバイス管理(MDM)に限定するというものだ。Managed App Distributionでは、企業のモバイルデバイス管理者が、携帯電話にアプリをプッシュすることが可能となる。
Managed App Distributionの文書には次のように書かれている。「Managed App Distributionフレームワークは宣言的管理と連携し、デバイスに割り当てられている管理対象アプリのリストを提供する。アプリは管理アプリのリストを並べ替えたり、フィルタリングしたり、表示するビューをManaged App Distributionフレームワークに要求できる」
Managed App Distributionにより、管理者は企業のMDMプラットフォームに関連付けられたユーザーのスマートフォンに特定のアプリを強制的にインストールできるようになる。また、9to5Macが正しければ、この新しいAPIはサードパーティ製アプリに他のアプリをインストールする許可を与えることになる。
最初の報道では、Appleの方針転換により、サードパーティーのアプリストアが創設される可能性が示唆されたが、その後、同社が目指しているのはMDMソリューションであることが判明した。そのため、MDMソリューションによって企業が(App Storeには存在しない)自社アプリのインストールを許可される可能性に比べて、サードパーティーのアプリストアが実現する可能性は低いと考えられる。
しかし、この話には1つ問題がある。というのも、「iPhone」はすでにMDMソリューションを通じてこのプロセスを可能にしているからだ。また、9to5macがiOS 17.2ベータの内部コードで発見したこのAPIにはリージョンロックに関する記述があるため、Appleはサイドローディングを特定地域でのみ可能にする計画かもしれない。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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