スーパーコンピューター(スパコン)の計算速度を争う世界ランキング「TOP500」の最新版で、理化学研究所と富士通が開発した「富岳」は4位となった。同ランキングは高性能計算技術に関する国際会議「SC22」で日本時間11月14日に発表された。
富岳は2020年6月から2021年11月までTOP500で1位を維持していたが、2022年6月に米国の「フロンティア」に抜かれ2位となった。そして今回、米国の新興である「オーロラ」「イーグル」に抜かれ4位となった。米国勢が1位から3位までを独占した。
各コンピューターの計算速度(1秒間に実行できる浮動小数点演算の回数)は、1位のフロンティアが119京4000兆回、2位のオーロラが58京5340回、3位のイーグルは56京1200兆回、4位の富岳は44京2010兆回だった。5位はフィンランドの「LUMI」で37京9700兆回で欧州最速となった。
一方、「Graph500」のBFS(Breadth-First Search:軸優先探索)部門で富岳は世界1位を維持した。同部門で富岳が世界1位となるのは8期連続だ。
Graph500はグラフ解析の性能を競う試験だ。グラフ解析は「SNSで誰と誰が繋がっているか」といった関連性のあるビッグデータ解析に用いられる。
同部門で1位を維持したことについて理化学研究所は「富岳が科学技術計算でよく用いられる規則的な計算だけでなく、不規則な計算が大半を占めるグラフ解析においても高い性能を発揮することを実証したもの」とコメント。また、実社会における複雑な現象は大規模グラフで表現されることが多いとも述べ、そうした分野での富岳の汎用性を示したという。
共同研究グループでは今後、高速グラフ解析に実績を持つNTTを加え、「富岳」の性能を一層発揮させるソフトウェア技術の検討を進めるとしている。
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